民泊を始めるうえで、最初の大きなポイントになるのが物件選びです。
「民泊可能」と書かれた物件でも、法令や管理規約、賃貸借契約などを確認すると、実際には民泊を始められないケースがあります。また、条件に合う物件そのものがなかなか見つからないことも珍しくありません。
そのため、物件を探すときは「どこで探すか」だけでなく、民泊として利用できる条件を知ったうえで候補を絞っていくことが大切です。
この記事では、一棟貸し専門の予約サイトとして全国の施設を見てきたTABILMOの視点から、民泊可能物件の見極め方や収益を上げやすい物件の特徴、具体的な探し方までわかりやすく解説します。
民泊可能物件とは?見極めの3要件

民泊可能物件とは、住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法などの法令上の要件を満たし、かつ物件固有のルールでも民泊運営が妨げられていない物件を指します。
「民泊用物件」「民泊できる物件」「民泊許可物件」「民泊OK物件」など呼び方はさまざまですが、指しているものは同じです。
注意したいのは、「民泊可能」という表示に公的な基準があるわけではないことです。不動産ポータルサイトや民泊専門サイトに「民泊可」と掲載されていても、それは掲載する事業者の判断による表示です。最終的に届出や許可が通るかどうかは、行政の窓口が判断します。物件を押さえる前に、まず次の3つを自分で確認しましょう。
要件1|法令上の営業形態の要件にあっているか
民泊の営業形態は法律によって大きく3つに分かれ、それぞれ要件が異なります。
| 営業形態 | 根拠法 | 営業日数の上限 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 住宅宿泊事業(民泊新法) | 住宅宿泊事業法 | 年間180日 | 届出制。住居専用地域でも営めるが、条例による制限がある場合あり |
| 簡易宿所営業 | 旅館業法 | 上限なし | 許可制。民泊を旅館業法で営む場合の多くがこれにあたる |
| 特区民泊 | 国家戦略特別区域法 | 上限なし(ただし最低宿泊日数の下限あり) | 認定制。実施している自治体が限られる |
特区民泊は、営業日数の上限がない代わりに最低宿泊日数の下限が設定されています。その日数は「3日から10日までの範囲内において施設の所在地を管轄する自治体の条例で定める期間以上」(国家戦略特別区域法施行令第13条第1項第2号)です。つまり1泊だけの利用は受けられません。短期滞在のゲストを想定している場合は、この点が形態選びの分かれ目となります。
同じ物件でも、どの法律に基づく形態を選ぶかで求められる設備や手続きが変わります。営業日数の上限なく運営したい場合は旅館業法の許可を取るルートになりますが、用途地域の制限が厳しくなる点には注意が必要です。詳しい比較は民泊の許可申請と届出の流れ、営業日数の180日制限については民泊新法の180日ルールで解説しています。
要件2|用途地域・建築基準法に適合しているか
物件がどの用途地域にあるかで、運営できる営業形態が変わります。住居専用地域では旅館業法の許可が原則として取れない一方、民泊新法の届出であれば運営可能なケースがあります。ただし自治体によっては、条例で住居専用地域での営業日数や運営方法がさらに制限されている場合があるため、物件所在地の自治体で確認が必要です。
建物の規模や使い方によっては、建築基準法上の用途変更の手続きが必要になることもあります。この2点は物件を決めてから動かすのが難しい条件なので、まず先に押さえておきたいところです。詳細は民泊が可能な用途地域の条件と用途変更と建築基準法の確認ポイントにまとめています。
要件3|物件そのもののルールに抵触していない
法令の要件を満たしていても、物件側のルールで民泊ができない場合があります。
たとえば、マンションの場合は、マンションごとに「管理規約」があり、住人はルールを守る義務があります。管理規約に民泊禁止となっていれば、当然、運営はできません。
代表的な物件のルールは次の2つです。
- 賃貸借契約:借りている物件を宿泊事業に使うことを、貸主が認めているか
- マンションの管理規約:区分所有建物で、規約が民泊を禁止していないか
この2つは、法令の要件とは別系統のルールで、物件によって変わります。そして、民泊新法での運営で届出する際は、書面での確認が求められます。物件を借りる前に、民泊可能物件なのかを必ず確認をしましょう。
賃貸・転貸で民泊はできる?貸主の承諾と管理規約の確認手順

賃貸物件でも民泊を始めることは可能です。ただし、住宅宿泊事業の届出では、「民泊利用について貸主に承諾を得ていることを書面で示す」必要があります。
賃貸物件で民泊を検討する場合は、物件を契約する前に、賃貸借契約の内容や貸主の承諾可否を確認しておくことが重要です。ここからは、必要な書類と確認の進め方を順に解説します。
賃借・転借物件には「転貸を承諾したことを証する書面」が必要
住宅宿泊事業の届出を行うとき、自己所有でない物件(賃借・転借)の場合は、添付書類として「転貸を承諾したことを証する書面」が必要になります。
この書面は住宅宿泊事業法施行規則第4条第4項に定められたもので、観光庁の民泊制度ポータルサイト「届出の際の添付書類」では次のように示されています。
住宅宿泊事業を行うことが可能かどうかについて明記されている必要があります。賃貸借契約書にその旨が明記されていない場合は、別途、賃貸人等が住宅宿泊事業を行うことを承諾したことを証する書類が必要となります。
ここで押さえるべきなのは、「民泊がダメとは書かれていない」だけでは足りないという点です。求められているのは「住宅宿泊事業を行うことが可能かどうかが明記されている」状態です。契約書で民泊について何も触れられていないのであれば、貸主から別途、承諾を証する書類をもらう必要があります。
もう一点、誰の承諾が必要になるかは、物件の借り方によって変わります。賃借人の場合は「賃貸人が承諾したことを証する書類」、転借人(又貸しで借りている場合)は「賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類」。つまり、サブリース物件などで又貸しの形になっているときは、賃貸人と転貸人(又貸し元)の双方から承諾を得る必要があります。
物件を借りる前に、民泊可能物件なのかを必ず確認をしましょう。
貸主の承諾は物件を契約する前に確認する
物件を契約する前に承諾の可否を確認しておくことが重要です。物件を契約した後に承諾を求めると、貸主が応じなかった場合に民泊ができない状態に陥ってしまいます。
そのような状況を回避するため、以下の流れを意識しましょう。
- 賃貸借契約書(または募集条件)に、住宅宿泊事業に関する記載があるかを確認
- 記載がなければ、貸主または管理会社に住宅宿泊事業の承諾が可能かを打診
- 承諾の見込みが立ってから、契約手続きへ
貸主へ民泊運営の相談するときは、営業形態(民泊新法の届出/旅館業法の許可)、想定する宿泊者層と定員、近隣への配慮、運営体制を伝えると判断してもらいやすくなります。あわせて、届出の際に承諾を証する書面が必要になることも最初に伝えておきましょう。後から書面を求めると、貸主に「話が違う」と拒否されかねません。
承諾を断られた場合は、その物件にこだわらず次を当たることをおすすめします。承諾が取れないケースが続くなら、後半の「民泊物件が見つからないときの5つの対処法」で条件の動かし方を紹介しています。
なお、自治体によっては届出の際に追加の書類を求められる場合があります。書面の様式や記載事項については、物件所在地を管轄する保健所・自治体の窓口で事前に確認しておきましょう。
マンション(区分所有建物)は管理規約の定めで3パターンに分かれる
分譲マンションの一室など、区分所有建物で民泊を行う場合は、管理規約の内容によって扱いが3つに分かれます。所有・賃貸のどちらであっても確認が必要です。
| 管理規約の状態 | 届出での扱い |
|---|---|
| ① 住宅宿泊事業を許容する旨の規定がある | 追加の書類は不要 |
| ② 住宅宿泊事業について定めがない | 届出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書(様式C)、又は本法成立以降(平成29年6月以降)の総会及び理事会の議事録等の添付が必要 |
| ③ 住宅宿泊事業を禁止する旨の規定がある | 届出できない |
※出典:観光庁「届出の際の添付書類」
ここで最も誤解が多いのが②の住宅宿泊事業について定めがないケースです。「管理規約に民泊禁止と書かれていないから大丈夫」と考えてしまいがちですが、規約に定めがない場合でも書類の提出が必要であり、その前提として「総会や理事会で禁止の方針が決議されていないこと」を確認しておかなければなりません。
なお②のケースで提出する書類は、誓約書(様式C)と平成29年6月以降の総会及び理事会の議事録等のいずれかが必要です。様式Cは自分で作成するもので、観光庁の民泊制度ポータルサイトにある様式集や、届出先の自治体のサイトで案内されています。規約の条文だけを読んで判断せず、議事録を確認するか管理組合・管理会社に照会しておきましょう。
一棟の建物の中に独立して使用できる住戸などが複数あり、それぞれの部分を別々の所有者が所有している建物のこと。
賃貸で始める場合と購入する場合の違い
承諾の問題をクリアできるなら、賃貸と購入のどちらにも合理性があります。
- 賃貸:初期費用を抑えられ、うまくいかなかった場合に撤退しやすい一方、賃料が固定費として残り、貸主の承諾や契約更新時の条件変更がついてまわります
- 購入:賃料の負担がなく内装も自由に設計できますが、初期費用が大きく、立地の判断を誤ったときの修正が難しくなります
そのエリアの宿泊需要を測りかねている場合は、賃貸から始めて実績を見てから購入を検討するという進め方も現実的です。民泊そのものの向き不向きは民泊運営のメリットとデメリット、購入資金の調達方法は民泊ローンの種類と借入条件で紹介しています。
収益を上げやすい民泊可能物件の条件
法令と物件ルールの関門をクリアできる物件が複数あるなら、次は予約が入りやすいかどうかで絞り込みます。一棟貸しの施設を見てきた経験から、実際に稼働している物件には共通点があります。
アクセスしやすい立地

最寄り駅からの距離だけでなく、ゲストが使う交通手段で考えるのがおすすめです。
都市部なら駅からの徒歩分数が大きな魅力になりますが、郊外や観光地では車でのアクセスと駐車場の有無のほうが重要になる場合も多いです。グループ旅行で使われる一棟貸しの場合、駐車台数が予約の可否を分けることもちらほら。
民泊物件を探す際には、ゲストの滞在目的によって「アクセスが良い」と認識される立地条件も変わってくる、ということを考慮する必要があります。
景色・眺望という差別化要素

きれいな海が見える、紅葉が色づく山に囲まれている、マイナスイオンを感じる川に面している。そこにしか無い景色。
眺望は、周辺の宿泊施設と価格で競わずに済む数少ない要素です。同じ設備・同じ広さでも、窓の外の景色で滞在の印象は変わります。駅からの距離では勝てない立地でも、眺望で選ばれる施設はあります。
観光スポットからの距離

旅行者にとっては、宿泊施設は旅の拠点になるので、目的の観光スポットに近いほうが便利ですよね。
主要な観光地や体験施設からの距離は、そのまま予約理由になります。すべての観光スポットを網羅するような好立地の民泊物件を見つけるのは難しいといえますが、一つでも徒歩でいける観光スポットなどがあれば、ゲストにアピールできる材料になるでしょう。
ただし「有名な観光地に近い」ことは競合も多いことを意味します。ここは地域ならではの体験と組み合わせて打ち出せるかどうかが、収益性の高い施設となるかどうかの分かれ目です。
間取りと定員のバランス

見落とされやすいのが間取りです。床面積が広くても、間取りによって受け入れられる人数は変わります。特に確認しておきたいのは次の点です。
- 寝室の数と配置:同じ延床面積でも、寝室が分かれているほうがグループ利用で選ばれやすい
- 水回りの数:定員に対して浴室・トイレが1つしかないと、滞在の満足度が下がりやすい
- リビングの広さ:一棟貸しでは、全員が集まれる空間があるかどうかが予約理由になる
- 宿泊室の床面積:営業形態によって、宿泊者1人あたりの床面積の基準が定められている場合があります。物件所在地の自治体・保健所で確認が必要です。
投資として利回りから逆算して物件を選ぶときの考え方は、投資物件として選ぶ場合の判断軸にまとめています。
一戸建て・マンションの違いと選び方

物件のタイプによって、メリットとデメリットがあります。ここでは、わかりやすいように一戸建て(一棟貸し)の場合とマンションで比較していきます。
一戸建てで始める場合
一戸建てで民泊を運営するメリットのひとつは、宿泊可能人数を増やすことで一泊あたりの単価を上げられる点です。単純に考えても10人で1泊するのと2人で1泊するのとでは1泊の単価が大きく変わり、結果として売上高に大きく影響します。
また一棟貸し切りの宿として運営すれば、一般的なホテルや旅館との差別化を図り、グループや広い部屋でゆっくりと過ごしたい人のニーズに応えることができます。また、マンションのような管理規約に縛られないため、比較的民泊を始めやすいというメリットもあります。
デメリットのひとつは、購入もしくは賃貸であっても初期費用が高くなりがちで、メンテナンスにも費用がかかる点でしょう。また、「家主不在型」の民泊の場合、住宅宿泊管理業者との連携が必須であったり、ゲストの騒音やゴミ問題などの管理がしにくかったりする点もあげられます。
一戸建てのメリット・デメリット
メリット
- 管理規約に縛られない
- 隣室との騒音トラブルが起きにくい
- 庭・駐車場など、集合住宅では出しにくい付加価値をつけやすい
- 一棟貸しとして打ち出しやすく、グループ需要を取り込める
デメリット
- 物件価格・賃料が集合住宅より高くなりやすい
- 建物全体の維持管理を自分で負う
- ゲストの行動によっては近隣住民とのトラブルに繋がる
- 消防設備の設置範囲が広くなる場合がある
一軒家で許可を取る際の具体的な手順や費用は、一軒家で民泊許可を取る手順で解説しています。
集合住宅・マンションで始める場合
集合住宅やマンションで民泊を運営するメリットは、初期費用が比較的おさえられるので参入しやすいという点です。内装や家具など、ほかのものに予算をかけることができます。さらに部屋が広くない分、メンテナンスもしやすいこともメリットといえるでしょう。
デメリットとしては、管理規約などが厳しく民泊として利用可能な物件が見つかりづらいという点です。集合住宅では、ほかの住民とのトラブルや騒音、ゴミ問題なども発生しやすくゲストのしっかりとした管理が求められます。また、ビジネスホテルなどとの差別化がしにくいため、安さやアクセスなど民泊ならではのアピールポイントを考える必要があるでしょう。
マンションでの運営を検討するなら、物件を探す段階から「管理規約で民泊が許容されているか」を条件に含めるのが効率的です。規約の確認を後回しにすると、内見や交渉の手間が無駄になります。
マンションのメリット・デメリット
メリット
- 物件の選択肢が多く、都市部の好立地を確保しやすい
- 一戸建てより初期費用を抑えやすい
- 建物全体の維持管理は管理組合が担う
デメリット
- 管理規約の確認が必須(前章の3パターンを参照)
- 他の居住者との関係に配慮が必要で、騒音対応の負担が大きい
- 共用部分の使い方に制約がある
- オートロックや宅配ボックスがある建物では、鍵の受け渡し方法の設計が必要になる
条件に合う物件を絞り込めたら、次に確かめておきたいのは「その物件に本当に予約が入るか」です。私たちTABILMOは一棟貸し専門のOTAとして、どんな立地・間取りの施設に実際の予約が入っているかを見てきました。物件の目星がついた段階でも、物件に迷っている場合でもご相談いただければ、掲載の可否とあわせて需要の見立てをお伝えできます。代表の無料相談を実施しているので、気軽にご相談ください。
民泊物件の探し方7選

物件の探し方については向き・不向きがあるので、自分の条件に合うものから着手していきましょう。
1|不動産ポータルサイトで探す
一般的に家を探す際に使用するサイトになります。民泊可能物件を扱っているサイトもあるのでチェックしてみてください。お気に入りの物件を見つけたら民泊可能と明記されていなくても、問合せするのもひとつの方法です。
また、不動産ポータルサイトは扱っている物件数も多いので、購入を検討している場合にも利用することをおすすめします。
2|民泊専用のポータルサイトで探す
民泊物件.comや部屋バルなど民泊可能物件を専門に扱うポータルサイトです。掲載物件が民泊利用を前提としているため効率的に探すことが可能で、条件交渉が進みやすいのが特徴です。一方で掲載数は限られており、地方や郊外では該当物件が出てこない場合もあります。
なお繰り返しになりますが、「民泊可」の表示は掲載事業者の判断によるものです。届出・許可が通るかどうかは別途、確認が必要です。
3|不動産会社に直接相談する
地域の不動産会社に、民泊での利用を前提として相談する方法です。ポータルサイトに出る前の情報や、売主・貸主が個別に事情を抱えている物件に出会えることがあります。エリアを絞り込めている方に向いています。
相談するときは「民泊をやりたい」とだけ伝えるのではなく、営業形態・想定定員・貸主の承諾が必要である点まで具体的に伝えると話が早く進みます。民泊に不慣れな担当者に当たることもあるため、複数社に当たるのが現実的です。
4|民泊運営代行業者に相談する
運営代行業者は物件情報を持っていることがあり、物件探しから運営までまとめて相談できる場合があります。民泊に関するノウハウを熟知しているので、物件の選び方から民泊届け出書の作成までさまざまな疑問を相談してみましょう。
特に、本業があり運営を外注する前提の方に向いています。ただし代行手数料の水準と業務範囲は業者によって差があるため、物件紹介と運営委託をセットで進める場合はそれぞれの条件を分けて確認するのが良いです。運営代行業者の選び方は民泊運営代行業者の選び方とおすすめ9選にまとめています。
5|自治体が公表する届出住宅の情報を調べる
届出のあった民泊の情報は、一部の自治体が自らのサイトで公表しています。ここから、既に民泊として使われている物件の分布を把握できます。
ただし、調べる場所を間違えないよう注意が必要です。観光庁が公表しているのは都道府県別の届出件数やマップといった集計データであり、個別の届出住宅を住所や名称で検索できる仕組みではありません。個別の物件情報を公表しているかどうかは自治体ごとに異なるため、開業を検討しているエリアの都道府県・保健所設置市・特別区などのサイトを当たってみる必要があります。
また公表情報は物件の売買・賃貸情報ではないため、直接の交渉窓口があるわけではありません。競合の密度や、既存施設の立地傾向を把握する材料として使うのがよいでしょう。
6|全国版空き家・空き地バンクで探す
自治体が把握している空き家情報を横断的に検索できるサイトで、国土交通省の空き家・空き地バンク総合情報ページにまとめられています。価格が抑えられた物件に出会いやすい一方、そのままでは住める状態にない物件も含まれます。改修を前提に初期費用を抑えたい方に向いていますが、改修費が物件価格を上回ることもあります。購入前にリフォーム費用の相場を踏まえて見積もりを取ったうえで判断しましょう。
空き家を民泊として活用する場合の進め方は空き家を民泊にする始め方で解説しています。
7|自治体の空き家活用窓口に相談する
空き家バンクに掲載される前の物件情報を、自治体の担当課が把握している場合があります。移住・定住促進や観光振興に力を入れている自治体では、活用希望者への紹介や補助制度の案内を行っていることもあります。
地方での開業を検討していて、エリアを柔軟に選べる方に向いています。あわせて改修費や取得費の補助制度も確認しておきたいところ。内容は自治体ごとに異なるため、民泊補助金の活用ガイドと空き家活用に使える補助金もご覧のうえ、自治体の担当窓口に問い合わせることをおすすめします。
民泊物件が見つからないときの5つの対処法

いくつもの方法を試しても条件に合う物件が出てこない、ということも珍しいことではありません。民泊可能物件は、そもそも市場に出回る数が限られています。貸主にとって民泊利用を認めることは通常の賃貸より判断が難しく、承諾のハードルが上がるためです。専門ポータルの掲載数が都市部に偏るのも同じ理由です。
「見つかりにくい」を前提にしたうえで、対処法を試しましょう。
対処法1|エリアの条件を一段広げる
検索エリアの広げ方に基準を置くと結果が変わります。やみくもに範囲を広げるのではなく、「主要駅や高速インターチェンジから車で30分以内」「観光の目的地まで車で1時間以内」といった、ゲストの移動時間を軸にした条件を考え、広めに絞り込んでみましょう。
郊外や観光地では車でのアクセスと駐車場が求められることが多いため、駅からの徒歩分数で絞っていた時には候補に入らなかったエリアが見えてきます。
対処法2|「民泊可」で探すのをやめ、承諾を取りにいく
民泊可と明示された物件だけを探していると、候補は限られます。発想を変えて、条件に合う物件を見つけてから、貸主に住宅宿泊事業の承諾を打診する方法があります。
貸主にとって判断材料になるのは、誰がどのように運営するのかという具体像です。営業形態、想定する宿泊者層、近隣への配慮(騒音・ゴミ出し)、運営代行を使うかどうかまで示せると、検討してもらえる可能性が上がります。もちろん断られることも大いにありますが、物件母数が大きく変わります。
対処法3|営業形態を変えて条件を見直す
例えば民泊新法の届出を前提に探していて見つからない場合、旅館業法の許可を取るルートに切り替えると、対象となる物件が変わることがあります。営業日数の上限がなくなる一方、用途地域や設備の要件は厳しくなります。逆に、旅館業を前提に探して行き詰まっているなら、民泊新法の届出に切り替えることで住居専用地域の物件が候補に入る場合もあります。
どちらが適しているかは物件と目指す収益によって変わるため、旅館業法の許可取得の注意点とともに民泊の届出に必要な手続きを見比べて判断するのがおすすめです。
対処法4|空き家・古民家へ対象を広げる
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は900万2千戸にのぼります。民泊可能物件として市場に出ている数と比べれば、はるかに大きな母数です。そのままでは使えない物件が多いぶん競合も少なく、改修を前提にできるなら選択肢は大きく広がります。
古民家を民泊にする場合は、建物の状態や改修範囲によって費用が大きく変わります。進め方は古民家を民泊にする場合の進め方にまとめています。
対処法5|既存の民泊事業を引き継ぐ(オーナーチェンジ)
すでに民泊として運営されている物件を、事業ごと引き継ぐ方法です。設備が整っており、立ち上げの手間を減らせる可能性があります。撤退する事業者の物件が相場より低い価格で出ることもあり、いわゆる「投げ売り」物件として扱われる場合もあります。
ただし、ここは慎重に確認したい点があります。届出や許可を前の事業者からそのまま引き継げるとは限らないという点です。取扱いは自治体や事業区分によって異なるため、物件所在地の保健所・自治体窓口で事前に確認しましょう。「許可付き物件だからすぐ営業できる」という前提で契約を進めるのは避けるのがベターです。
あわせて、前任の事業者がなぜ撤退するのか(稼働が伸びなかったのか、近隣とのトラブルがあったのか)を把握しておくと、同じ問題を引き継がずに済みますよ。
物件が決まってからの流れ
物件の目処が立ったら、開業に向けた手続きと準備が並行して進みます。おおまかな流れは次のとおりです。
- 営業形態を確定し、自治体・保健所に事前相談する(賃貸の場合は承諾書の準備も進めます)
- 消防署に相談し、必要な消防設備を確認する
- 改修・内装工事を行い、設備と備品をそろえる
- 届出または許可申請を行う
- 掲載先を決め、写真撮影と料金設定を行う
- 運営体制(清掃・チェックイン方法)を整える
各ステップの詳しい進め方は、許可申請で必要になる書類と流れ、民泊に必要な消防設備の選び方、民泊リノベーションの費用相場、予約が入る部屋の内装の作り方、民泊アメニティの選び方、民泊向けWi-Fiの選び方、民泊向けスマートロックの比較、予約につながる民泊の名前の決め方、民泊ローンの種類と借入条件にまとめています。
また、開業から集客までの全体像は民泊の始め方ガイドをご覧ください。
よくある質問

Q1. 民泊可能物件とは何ですか?
法令上の要件を満たし、かつ管理規約や賃貸借契約といった物件固有のルールでも民泊が妨げられていない物件を指します。注意したいのは、「民泊可能」という表示自体に公的な基準はないことです。
ポータルサイトの表示は掲載事業者の判断によるものなので、届出・許可が通るかどうかは自分で確認する必要があります。
Q2. 民泊は賃貸でもできますか?
できます。ただし届出の際に「転貸を承諾したことを証する書面」の添付が必要です。賃貸借契約書に住宅宿泊事業を行える旨の記載がなければ、別途、貸主から承諾を証する書類をもらう必要があります。口頭での了解だけでは届出が進められないため、物件を押さえる前に承諾の見込みを確認しておくのが安全です。
Q3. 民泊ができる物件の条件は?
①営業形態の要件(民泊新法・旅館業法・特区民泊のいずれか)
②用途地域や建築基準法への適合
③管理規約や賃貸借契約で禁止されていないこと
この3つです。このうち②は物件を決めてから覆すのが難しいため、内見の前に確認しておくと手戻りを防げます。
Q4. マンションの一室で民泊はできますか?
管理規約の内容によって民泊運営ができるかどうか決まります。許容する定めがある場合は管理規約の写しを添付することで追加書類なしで届出可能です。一方で、禁止する定めがあれば届出ができません。
定めがない場合は、誓約書(様式C)か平成29年6月以降の総会・理事会の議事録等の添付が必要です。「規約に書いていないから大丈夫」とは言い切れないので、議事録の確認や管理組合への照会を行いましょう。
Q5. 民泊物件が見つからないときはどうすればいいですか?
民泊可能物件は市場に出回る数が限られているため、「見つからない」状態は珍しくありません。効果が大きいのは、「民泊可」と書かれた物件を探すのをやめ、条件に合う物件を見つけてから貸主に承諾を打診する方法です。ほかの対処法は本文の「民泊物件が見つからないときの5つの対処法」で解説しています。
Q6. 民泊と賃貸はどちらが収益を上げやすいですか?
稼働率と宿泊単価の前提によって結果が変わるため、一概には言えません。民泊は繁忙期の単価を高く設定できる一方、稼働が読みにくく、清掃や運営の手間とコストが継続的にかかります。通常の賃貸は収入が安定する代わりに単価の上振れがありません。民泊投資の利回りの考え方で前提を置いて試算してみましょう。
まとめ
民泊を始めるには、まずは物件探しが必要です。
そして民泊の物件探しは、「探す場所」よりも「判断する順番」で大きく差がつきます。
物件が見つかれば、住宅宿泊事業の登録・届け出をしましょう。さらに内装工事や家具の選定などやることはたくさんあります。
賃貸で始めることを検討しているなら、いま候補にしている物件の募集条件や賃貸借契約書に、住宅宿泊事業に関する記載があるかを確認するところから始めてみてください。そして記載がなければ、物件を押さえる前に貸主へ承諾の可否を打診しましょう。
この順番を守るだけで、後戻りのリスクは大きく下がるのです。購入を検討している場合は、内見の前に用途地域を調べておくと、候補の絞り込みが一気に進みます。
自分の理想にあった物件を本記事を参考に探してみてください。
物件の目処が立ったら、開業準備と並行して掲載先の検討も進めておくと、開業初月から予約を獲得しやすくなります。一棟貸し専門OTA「タビルモ」への掲載資料は今すぐチェック可能。開業スケジュールと並行して掲載手続きを進めておくこともできるので、開業初日から予約受付がスタートできますよ。