民泊新法(住宅宿泊事業法)と180日ルール|数え方・罰則・超えた場合の対処法【2026年最新】

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、2018年に施行された、日本で民泊を合法的に運営するための基本的なルールを定めた法律です。とりわけオーナーが頭を悩ませるのが「180日ルール」。年間の営業日数を超えると法的リスクを負うだけでなく、収益機会も大きく失います。

本記事では、180日ルールの正確なカウント方法・罰則・超えた場合の対処法まで、民泊新法の要点を体系的に解説します。

➤民泊開業の全手順は『民泊の始め方完全ガイド

民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?旅館業法との違いも解説

民泊一棟貸し

民泊新法は、民泊サービスの健全な普及と利用者保護を目的として2017年6月に制定、2018年6月15日に施行された法律です。

それまで法的グレーゾーンにあった民泊を、届出制のもとで合法的に運営できる枠組みを初めて整備しました。

旅館業法との主な違い

 民泊新法(住宅宿泊事業法)旅館業法(簡易宿所)
手続き届出(都道府県知事等)許可(保健所)
営業日数年間180日以内制限なし
施設要件住宅として使われている建物宿泊施設としての構造基準
難易度比較的参入しやすい許可取得に時間・費用がかかる

旅館業法に基づく許可は取得ハードルが高い一方、営業日数に上限がありません。民泊新法は届出だけで始められる手軽さがある反面、180日という営業日数の上限が最大の制約です。

民泊新法の対象となる3つの事業者

民泊新法は、以下の3種類の事業者を規制対象としています。

①住宅宿泊事業者(住宅宿泊事業法第3条第1項)
民泊を直接運営する個人・事業者。都道府県知事等への届出が必要。

②住宅宿泊管理業者(住宅宿泊事業法第22条第1項)
家主に代わって清掃・ゲスト対応等の管理業務を行う事業者。国土交通大臣への登録が必要。

③住宅宿泊仲介業者(住宅宿泊事業法第46条第1項)
ゲストとオーナーをつなぐプラットフォーム事業者。観光庁長官への登録が必要。

180日ルールの基本|起算日・カウント方法・上乗せ条例

180日ルールとは

民泊新法では、住宅宿泊事業として民泊を運営できる日数を年間180日(泊)以内に制限しています(住宅宿泊事業法第2条第3項)。

ここでいう「日数」とは、実際にゲストを宿泊させた日(泊数)のことです。予約を受け付けた日や施設を空室にしていた日はカウントされません。

起算日とカウント方法

180日のカウント期間は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間です。年度をまたいでリセットされるため、3月31日まで残日数を把握しながら運営することが重要です。

【カウントの基本ルール】
・カウント対象:ゲストが実際に宿泊した泊数
・カウント対象外:空室日・予約のみで宿泊未発生の日
・起算日:毎年4月1日
・上限:同一年度内で通算180泊

複数の部屋を保有している場合でも、物件(届出住宅)ごとに180日が適用されます。1オーナーが複数物件を届け出ていれば、物件ごとに180日まで営業可能です。

地方条例による上乗せ規制に要注意

民泊新法の180日はあくまで全国共通の上限です。多くの自治体が条例によってさらに厳しい制限を設けています。

例えば、東京都大田区では区域・期間を指定した独自の制限、京都市では住居専用地域での営業曜日・時間帯の制限など。物件の所在地ごとに必ず上乗せ条例を確認してください。

180日を超えた場合の罰則と法的リスク

注意喚起

180日超過で科せられる罰則

年間180日の上限を超えて民泊を営業した場合、住宅宿泊事業法が定める「住宅宿泊事業」の定義からはずれ、旅館業の無許可営業とみなされます。これによって、旅館業法第10条第1号の規定に基づき、「6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらを併科」が科せられる可能性があります。

【罰則対象となりうる主なケースと法的根拠】
・届出なしで民泊を運営した場合(旅館業法第10条第1号)
・180日の上限を超えて宿泊させた場合(旅館業法第10条第1号)
・虚偽の内容で届出を行った場合(住宅宿泊事業法第73条第1号)
・定期報告をせず、または虚偽の報告をした場合(住宅宿泊事業法第76条第3号・罰則:30万円以下の罰金)

なお、宿泊者名簿を整備していない・提示できない場合にも、旅館業法第11条第1号に基づいて、別途50万円以下の罰金の対象となる場合があるので注意が必要です。

 次の記事で宿泊者名簿のテンプレートをゲットする

行政処分のエスカレーション

罰金だけが問題ではありません。

法令違反が認定された場合、 住宅宿泊事業者に対しては、住宅宿泊事業法第15条・第16条の規定に基づき、 以下のような行政処分が段階的に下される可能性があります。

  1. 業務改善命令(第15条):法令違反が認められた場合の是正命令
  2. 業務停止命令(第16条第1項):1年以内の期間を定めた業務の全部または一部の停止
  3. 事業の廃止命令(第16条第2項):他の監督手段で目的が達成できない場合の最終処分

業務停止命令や廃止命令に違反して営業を継続した場合、 住宅宿泊事業法第73条第2号に基づき、6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、 またはこれらを併科する重い罰則の対象となります。

届出が取り消された場合、再届出には一定期間の制限が設けられる場合があります。収益機会の喪失だけでなく、信用リスクも大きいため、日数管理は徹底して行ってください。

180日制限のなかで収益を最大化する方法

180日という制約は変えられませんが、稼働効率を上げることで収益を最大化することは十分可能です。

単価設定と稼働率の両立を意識する

180日フルに稼働しても、単価が低ければ収益は伸びません。一棟貸し・貸別荘の場合、週末・長期連休・観光シーズンに単価を引き上げ、閑散期は稼働率を優先する動的な料金設定(ダイナミックプライシング)が有効です。

実際にデータを用いながら収益シミュレーションを行っておくことが、結果として安定的な運営につながります。

複数OTAへの掲載で集客チャネルを分散する

180日という限られた期間を最大限に活用するには、集客チャネルを1つに絞らないことが重要です。掲載するOTA(オンライン旅行代理店)が1つだけだと、特定プラットフォームの需要変動や検索アルゴリズムの変化に収益が左右されます。

複数のOTAに掲載することで、異なる顧客層・異なる検索行動からの予約を獲得でき、限られた営業日数の稼働率を底上げできます。特に一棟貸し・貸別荘に特化したOTAは、物件タイプにマッチしたゲストが集まるため、成約率が高くなる傾向があります。

180日の営業期間で稼働率を最大化するには、集客チャネルの選択が重要です。
一棟貸し・貸別荘に特化した予約サイトTABILMO(タビルモ)は、初期・月額0円、成約時のみ手数料が発生する料金体系です。掲載条件・実績を資料で確認してから判断できます。

 掲載条件・手数料を確認する
   ※資料請求は1分。掲載の相談も無料

施設要件・法規制をクリアしておく

住宅要件(台所・浴室・トイレ・洗面設備の完備)や消防設備の整備が不十分なままでは、営業停止リスクが常につきまといます。設備面の整備を早期に完了させることが、180日を安定して稼働させる前提条件です。

180日を超えて運営したい場合の選択肢

事業規模の拡大や収益目標から「180日では足りない」と感じるオーナーには、民泊新法の枠外で運営する2つの選択肢があります。

①特区民泊(国家戦略特区)の活用

国家戦略特区に指定された地域では、民泊新法ではなく特区民泊制度のもとで営業日数制限なく運営できる場合があります。ただし、最低宿泊日数(2泊3日以上など)や設備基準など、民泊新法とは異なる要件があります。

特区民泊が利用できる主な地域は、東京都大田区・大阪府・北九州市など。物件の所在地が特区に該当するかどうか、自治体の担当窓口に確認してください。

②旅館業法(簡易宿所営業)への切り替え

旅館業法に基づく簡易宿所営業の許可を取得すれば、年間を通じて制限なく宿泊サービスを提供できます。一棟貸し・貸別荘の場合、一定の設備基準を満たしていれば取得を検討する価値があります。

ただし、許可取得には保健所への申請・施設検査が必要で、民泊新法の届出と比べて時間・コストがかかります。また、許可を取得した場合でも、住宅専用地域に所在する物件は旅館業法上の営業ができないケースがあるため、用途地域の確認も必要です。

よくある質問

FAQ

Q1. 180日のカウントはいつから始まりますか?

毎年4月1日(正午)が起算日で、翌年4月1日正午までの1年間が対象期間です。年度をまたいでリセットされるため、3月末に近づくと残日数の管理が重要になります。

Q2. 180日を超えてしまったらどうすればよいですか?

超えた時点で営業を停止し、都道府県知事等の担当窓口に相談することが先決です。超えた状態のまま営業を継続すると、罰則・業務停止命令・届出取り消しのリスクがあります。今後も営業日数を増やしたい場合は、旅館業法許可の取得または特区民泊への移行を検討してください。

Q3. 複数の施設を持っている場合、180日は合算されますか?

合算されません。届出をした住宅(物件)ごとに180日が適用されます。物件Aで180日・物件Bで180日、それぞれ独立してカウントされます。

Q4. 所有者が変わった場合、180日はリセットされますか?

原則としてリセットされません。住宅宿泊事業の届出は物件に紐づくものではなく事業者(届出人)に紐づくため、所有者変更の際は改めて届出手続きが必要です。ただし、年度の途中で所有者が変わった場合の日数の引き継ぎについては、自治体の担当窓口に個別確認することを推奨します。

Q5. ゲストが宿泊しなかった日もカウントされますか?

カウントされません。180日ルールの「日数」は実際にゲストを宿泊させた泊数が対象です。空室のまま過ごした日・キャンセルが発生した日はカウントに含まれません。

Q6. 地域によって180日より少ない制限がある場合はありますか?

あります。民泊新法の180日は全国共通の上限ですが、多くの自治体が条例によってさらに厳しい制限を設けています。例えば特定の用途地域では営業できる曜日・時間帯が限られる場合や、年間営業日数が180日未満に制限されるケースもあります。物件の所在地の条例を必ず確認してください。

Q7. 民泊新法の届出と旅館業法の許可はどちらがよいですか?

目的によって異なります。まず1施設から始める方なら手続きが簡単な民泊新法の届出が向いています。一方、年間を通じて稼働させたい・本業として収益化したいなら、営業日数制限のない旅館業法の許可取得を検討する価値があります。ただし旅館業法は取得ハードルが高く、物件の用途地域・構造要件を満たす必要があります。

まとめ

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、一般住宅を活用した民泊を合法的に運営するための法的枠組みです。旅館業法に比べて参入しやすい反面、年間180日以内という営業日数の上限が最大の制約となります。

180日ルールで押さえておくべきポイントをまとめます。

【民泊新法・180日ルール まとめ】
・起算日は毎年4月1日。届出住宅ごとに独立してカウント
・カウント対象は「実際に宿泊させた泊数」のみ
・地方条例で180日よりさらに厳しい制限が設けられているケースがある
・超過した場合は罰則・業務停止・届出取り消しのリスクがある
・180日を超えて運営したい場合は特区民泊・旅館業法許可を検討する
・制限内で収益を最大化するには稼働効率と複数チャネルの活用が鍵

法規制をしっかり理解したうえで運営計画を立て、限られた営業日数の中で最大の収益を目指しましょう。

180日制限があるからこそ、営業期間中の稼働率最大化が収益を左右します。特に「180日を超えたら?」の構造的課題への現実的な打ち手が、複数OTA掲載による稼働率ブーストです。