貸別荘経営は儲かる?始め方・初期費用・旅館業法の許可・成功のコツをTABILMOが解説

所有している別荘や一戸建てを、固定資産税を払いながら空けたままにしているケースは少なくありません。そういった物件を宿泊施設として貸し出すことで収益化できるのが、貸別荘経営です。

一棟貸しの宿泊施設として運営するには、主に2つの方法があります。

旅館業法(簡易宿所)の許可を取得する方法と、住宅宿泊事業法の要件を満たす「届出住宅」として届け出る方法です。それぞれ年間営業日数や手続きの負担が異なるため、どちらを選ぶかが収益規模を左右します。

この記事では、許可取得の手順・初期費用・収益シミュレーション・よくある失敗を、一棟貸し専門予約サイトTABILMO(タビルモ)の視点で解説します。

目次

貸別荘経営に関わる2つの枠組み:旅館業法と住宅宿泊事業法

一棟の建物を丸ごと宿泊施設として貸し出す「貸別荘・一棟貸し」は、旅館業法(簡易宿所)の許可を取得して運営する方法と、住宅宿泊事業法の要件を満たす「届出住宅」として運営する方法があります。物件の形態(一棟貸しか否か)と根拠とする法律は、別の話です。

項目旅館業法(簡易宿所住宅宿泊事業法(民泊新法
手続き許可制(都道府県知事等)届出制
年間営業日数法令上の日数制限なし180日以内
準備の手間・費用大きい(消防設備・保健所審査等)比較的小さい(消防・管理体制等の確認は必要)
一棟貸しへの適用

実態として、一棟貸し・貸別荘でも住宅宿泊事業法の届出で運営しているケースは少なくありません。逆に「民泊」と呼ばれる施設でも、旅館業法の許可を取得して運営しているものがあります。

2つの枠組みで最も大きな違いは年間の営業日数制限です住宅宿泊事業法の届出では年間180日を超えて営業できないため、稼働率の上限が年間のおよそ49%に制限されます。旅館業法(簡易宿所)の許可を取得すれば、この制限がなくなり、1年を通して予約を受けられる運営体制を作りやすくなります。

「住宅宿泊事業法の届出で始めたが、180日の上限に引っかかるようになった」という別荘オーナーが旅館業法に切り替えるケースも実際にあります。

この記事では、収益最大化を目指す別荘・一戸建てオーナー様向けに、旅館業法(簡易宿所)の許可取得を中心に解説します。

なお、タビルモには旅館業法許可・民泊新法届出どちらの施設も掲載できます。いずれも、適切な許可証・届出番号を取得した上でご登録ください。民泊開業の全体フローもあわせてご参照ください。

副業として貸別荘・一棟貸しを検討している方は、「副業で民泊はできる?」もあわせてご覧ください。

貸別荘経営は本当に儲かるか

貸別荘の収益シミュレーション

「貸別荘は儲かる」という話はよく耳にしますが、実態は物件・立地・設備・稼働率によって大きく変わります。ここでは数字を使って整理します。

収益シミュレーション(稼働率別)

以下は、1棟を1泊2万円で設定した場合の年間売上試算です。

稼働率年間稼働日数年間売上(1泊2万円)
30%約110日約220万円
50%約183日約365万円
70%約256日約511万円

実際の手残りは、売上から運営費(清掃・光熱費・OTA手数料・アメニティ・設備メンテ等)を差し引いた分です。運営費は売上の50〜70%程度かかることが多く、稼働率50%・手残り40%であれば年間で約145万円が目安になります。

1泊単価が高い物件では収益構造が変わります。温泉・サウナ・絶景ロケーションなどの付加価値がある物件では1泊5〜10万円以上の設定も現実的で、稼働率が低くても大きな売上になります。

(※上記はあくまで試算です。実際の収益は物件・立地・運営方法によって大きく異なります。事業計画は保守シナリオをベースにすることをおすすめします)

詳細な収益計算は民泊の詳細な収益シミュレーションでもまとめています。

年間営業日数の違いが収益規模を変える

住宅宿泊事業法の届出で運営する場合と、旅館業法許可を取得した場合では、年間の収益規模が大きく変わります。

リゾートエリアで週末・祝日・長期休暇に予約が集中する物件の場合、住宅宿泊事業法の年間180日上限に近づきやすくなります。特に、夏休み・年末年始・ゴールデンウィークなどの繁忙期に加え、週末需要が積み上がると、営業可能日数の制限が収益の上限になりやすい点に注意が必要です。

旅館業法許可を取得すれば、閑散期の平日に値下げして稼働させる・長期滞在プランを設けるといった運営の幅が広がります。

高単価設定が可能な理由

貸別荘・一棟貸しが一般的なホテルより高単価を設定できるのは、「プライベートな非日常体験を独占できる」という価値を提供しているからです。

BBQデッキ・露天風呂・薪ストーブ・映画設備などの設備が一つあるだけで客単価は大きく上がります。また、一組専用の空間はプライバシーを重視するカップルや家族グループに選ばれやすく、連泊されやすい傾向があります。連泊が増えると一泊あたりの清掃コストが下がり、利益率が改善します。

民泊経営の全体像と儲かるコツもあわせてご覧ください。

旅館業法(簡易宿所)許可の取得ステップ

旅館漁法許可の取得フロー

貸別荘経営を始めるにあたって最初の関門となるのが、旅館業法(簡易宿所)の許可取得です。保健所への申請が中心になりますが、その前に複数の確認・整備が必要です。

ステップ①:用途地域の確認(市区町村の窓口)

旅館業の営業が認められる用途地域は法律で限定されています。第1種住居地域※・第2種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域の6区分が基本的な対象です。一方、住居専用地域や田園住居地域などでは、原則として旅館・ホテル用途での営業は難しいため、物件取得前に必ず自治体へ確認してください。

物件の取得・改修着工前に、市区町村の都市計画課で用途地域を確認してください。ここをスキップして進めると、許可が取れないまま改修費用だけがかかるという最悪のケースになります。詳しい用途地域の仕組みについては民泊と用途地域の関係でも詳しく解説しています。

※第1種住居地域では旅館・ホテル用途に供する部分が3,000㎡以下に限られるなどの制限があります。

ステップ②:保健所への事前相談

用途地域の確認が取れたら、物件を管轄する保健所に事前相談に行きます。旅館業の許可要件は自治体によって細かく異なるため、「申請書を出す前に必ず相談する」のが鉄則です。

主な確認事項:

  • 客室の面積要件(旅館業法施行令に基づく構造設備基準)
  • 採光・換気の基準
  • フロント(帳場)の設置要否
  • 追加で必要な書類・手続き

客室の延床面積については、旅館業法施行令上の基準として33㎡以上が原則です。ただし一度に宿泊させる人数が10人未満の場合には「1人あたり3.3㎡×宿泊者数」以上の面積で申請できる特例があります。一棟貸しで少人数向けの物件を想定している場合、この特例が適用できる可能性があるため担当窓口に確認しましょう。

なお、簡易宿所営業については、旅館業法施行令の構造設備基準にフロント(玄関帳場)の規定はなく、設置は法令上必須ではありません。ただし、自治体の上乗せ条例でフロント設置や代替設備(緊急時の駆けつけ体制・ビデオ通話による本人確認等)を求められる場合もあるため、物件所在地の担当窓口に必ず確認してください。

ステップ③:消防設備の確認・整備(消防署)

旅館業の許可申請には「消防法令適合通知書」の添付が必要です。これは管轄の消防署が発行する書類で、物件が消防法令の基準を満たしていることを証明します。

消防署に図面を持参して事前相談を行い、必要な設備(自動火災報知設備・誘導灯・消火器など)を整備した上で現地調査を依頼します。古い建物では設備が基準を満たしていないケースが多く、工事費が数十万〜数百万円になることもあります。消防設備の工事費は、物件購入・改修前に必ず概算を把握しておきましょう。

ステップ④:申請書類の提出と現地検査

消防法令適合通知書を取得したら、保健所に許可申請書を提出します。一般的に必要な書類を以下にまとめました。

  • 許可申請書
  • 施設の各階平面図・配置図
  • 建築基準法に基づく検査済証の写し
  • 消防法令適合通知書
  • 登記事項証明書(法人の場合)

なお、古い建物では検査済証が存在しない場合があります。代替書類や手続きについては、事前に保健所・建築指導担当窓口に確認してください。

申請後、保健所の担当者による現地検査が行われ、基準を満たしていれば許可証が交付されます。申請から許可まで、自治体によりますが概ね1〜2ヶ月かかります。

⚠️ 許可要件は自治体ごとに細かく異なります。「必ず取得できる」という保証はなく、保健所への事前相談が必須です。手続きが複雑な場合は行政書士・建築士への依頼も選択肢に入れてください。

旅館業法許可の申請手続きの詳細は旅館業法(簡易宿所)許可の申請手続きでも解説しています。

貸別荘経営の初期費用と回収シナリオ

貸別荘を始めるにあたって必要な費用を整理します。既所有物件を活用する場合と、物件取得から始める場合で規模が大きく変わります。

主な初期費用の目安

費用項目目安
物件取得費(購入の場合)立地・規模による(中古一戸建てで数百万〜)
リノベーション・内装工事300万〜1,500万円(グレードによる)
消防設備工事50万〜300万円(物件の状態・規模による)
旅館業許可申請(行政書士依頼)10万〜30万円程度
什器・寝具・アメニティ50万〜150万円
写真撮影・OTA掲載準備5万〜20万円

既所有物件を活用できる場合、物件取得費がゼロになるため投資回収が大幅に早まります。

投資回収期間の考え方

たとえば、既所有物件に改修・消防設備・什器込みで500万円を投資した場合、1泊2万円・稼働率50%・手残り率40%であれば年間手残りは約145万円。単純計算で回収期間は約3.4年です。1泊3万円に設定できる物件なら年間売上は約547万円(稼働率50%)となり、手残り率40%で年間約219万円、回収期間は約2.3年に短縮されます。

ただし稼働率の読み違いは回収期間を大きく狂わせます。「週末だけ満室」でも年間稼働率が30%を下回るケースは多く、事業計画は保守的なシナリオ(稼働率30〜40%)をベースラインにするのがおすすめです。

民泊・貸別荘のリノベーション費用の詳細は民泊・貸別荘のリノベーション費用相場でまとめています。

貸別荘経営でよくある失敗と対策

注意喚起

貸別荘経営で失敗する人には共通のパターンがあります。事前に把握しておくことで大半は回避できます。

失敗①:許可取得のコスト・時間の過小評価

「半年後には運営開始できる」と見込んで物件を購入したものの、消防設備の追加工事・保健所との調整・申請手続きで1年以上かかった——という話はよく聞きます。

物件購入前に用途地域・消防設備の要否を確認し、概算コストと期間の目処をつけてから判断すること。この順序を逆にすると高くつきます。

失敗②:稼働率の楽観的な見積もり

周辺の競合施設が週末に満室であることを見て「稼働率70%は狙える」と計算したものの、実際には平日・閑散期がほとんど埋まらず年間稼働率は35%だった——という例は珍しくありません。

観光需要は週末・連休・季節に強く偏ります。事業計画の初期は「週末だけ稼働」を前提にした保守シナリオから始め、稼働実績に基づいて見直すほうが健全です。

失敗③:清掃・メンテナンスの負担の読み違い

一棟貸しは清掃範囲が広く、浴室・トイレ・キッチン・BBQグリル・外構まで含めると1回2〜4時間かかることもあります。自分で対応するには体力的な限界があり、外注すれば1回1〜3万円のコストが発生します。

年間100泊稼働で1回2万円なら清掃費だけで年間200万円です。損益計算に清掃費を組み込んでいないと、実際の手残りが想定より大幅に少なくなります。

失敗④:一棟貸しに不向きなプラットフォームへの依存

大手OTAは認知度が高い一方、貸別荘・一棟貸しに特化した機能が不十分な場合があります。ゲストの用途が「個室探し」と「一棟貸し」で混在しているプラットフォームでは、自分の施設に合った客層にリーチしにくいこともあります。

掲載プラットフォームの選び方

タビルモへの掲載をご検討中の方へ:掲載条件・手数料・申込みフローをまとめた資料をご用意しています。こちらから資料をご請求ください

どのプラットフォームに掲載するかは、集客の質と量に直結します。

大手OTAは集客規模で圧倒的ですが、手数料が高く、一棟貸し専用の体験を求めるゲストが目的の物件に辿り着きにくい面があります。一棟貸し・貸別荘に特化したプラットフォームは、最初から「一棟丸ごと貸し切りたい」という層を集客しています。

タビルモは一棟貸し専門のOTAです。

  • 貸別荘・古民家・離島のゲストハウスなど、非日常体験を提供する宿泊施設が対象です
  • 旅館業法(簡易宿所)の許可施設・民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出施設、どちらも掲載できます。適切な許可証・届出番号をお持ちであればご登録いただけます
  • 「所有物件の収益化を考えているが、どこに掲載すればよいか」という段階からご相談ください

掲載サイトの比較は民泊・貸別荘の掲載サイト比較も参考にしてください。

よくある質問

貸別荘経営に必要な許可・資格は何ですか?

旅館業法(簡易宿所)の許可か、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出のいずれかが必要です。旅館業法許可を選ぶ場合は都道府県知事等への申請・消防法令適合通知書の取得など複数の手続きが必要です。

住宅宿泊事業法の届出は旅館業法許可に比べると手続きの負担を抑えやすい一方、年間180日以内の営業制限があります。どちらを選ぶかは収益目標と運営スタイルによって変わるため、まず管轄保健所への事前相談から始めてください。

貸別荘の稼働率の目安はどのくらいですか?

年間30〜50%程度が現実的な目安です。週末・連休・夏休みなどに集中しやすく、平日・閑散期の稼働は落ちます。立地・付加設備・価格設定によって変わりますが、事業計画は年間稼働率30〜40%をベースに組むことをおすすめします。

貸別荘経営の年収・月収はどのくらい見込めますか?

1泊2万円・稼働率50%で試算すると、年間売上は約365万円です。清掃費・光熱費・OTA手数料・アメニティ費・メンテナンス費などを差し引いた手残りは、ここでは売上の30〜50%程度を一つの仮定として試算しています。

高単価物件や複数棟を運営する場合は、年間売上が大きく伸びるケースもあります。ただしこれらは、一般的な事例に基づく試算であり、実際の収益は物件・立地・運営方法によって大きく異なる点には注意が必要です。

貸別荘経営では、旅館業法と住宅宿泊事業法のどちらを選ぶべきですか?

通年営業で収益の最大化を目指すなら旅館業法(簡易宿所)、初期投資を抑えてまずは小さく始めたいなら住宅宿泊事業法(民泊新法)が現実的です。ご自身の状況に合わせて、「必要な営業日数」「初期投資の許容額」「開業までのスピード」の3軸で考えてみましょう。

なおリゾート地で週末・連休に予約が集中する物件は、180日の上限に短期間で到達してしまう可能性が高いため、法令上の日数制限がない旅館業法のほうが収益面で有利になる傾向があります。

自宅の別荘(空き家)を貸別荘として経営できますか?

可能です。ただし、物件が旅館業を認める用途地域にあること、旅館業法(簡易宿所)の許可要件(客室面積・消防設備等)を満たすことが条件です。古い建物は消防設備の追加工事が必要なケースが多いため、事前に保健所・消防署へ相談されることをおすすめします。

古民家での貸別荘経営も可能です。詳しくは「古民家で民泊はできる?」をご覧ください。

まとめ:貸別荘経営を始める前に押さえておくこと

貸別荘経営は、別荘や一戸建てを持つオーナーにとって有力な収益化手段です。年間180日の制限がある住宅宿泊事業法と、法令上の日数制限がない旅館業法(簡易宿所)のどちらを選ぶかで、収益規模は数倍単位で変わる場合があります。一方で旅館業法許可には用途地域・消防設備・保健所審査という関門があり、物件取得後に「許可が下りない」「想定外の工事費がかかる」と判明する失敗例も多いです。

一棟貸しの貸別荘経営で収益化を検討する場合、まず物件所在地の用途地域と消防設備の状況を確認しましょう。この2点で経営の可否と費用感が見えれば、その先の事業計画をかなり現実的に立てられます。

タビルモは、旅館業法許可・民泊新法届出のいずれの一棟貸し施設もご登録いただけます。OTA選びを検討される段階で、タビルモの掲載資料もぜひご覧ください。