民泊の写真の撮り方|予約が入るコツ・撮影代行の相場と選び方・著作権の注意点

同じような立地、同じくらいの広さ、同価格帯の物件が予約サイト上に並んでいるのに、片方にだけ多く予約が入る。

民泊の掲載ページを見比べていると、そういう場面によく出会います。差がついているのは設備だけではなく、多くの場合は写真です。私たちTABILMOは一棟貸し専門の予約サイトとして、数多くの施設の掲載ページを見てきました。その経験から言えるのは、写真がいまいちで予約の入りがまずまずな施設は、カメラの性能というよりも「何を・どの順で見せるか」でつまずいているということです。

予約サイトで集客するのに重要なのは、まずは最初に目に入るサムネイル画像です。その次に他画像の掲載順や、写真の質などと続きます。この記事では、民泊施設における写真撮影の具体的なコツから、プロに依頼するときの代行先の選び方まで解説。そして意外と見落とされがちな外注した写真の著作権についても見ていきます。

※この記事で扱うのは予約サイトなどへの掲載用の物件写真です。チェックイン時の本人確認に使う顔写真は目的・扱いが別のものなので、そちらはセルフチェックインでの本人確認の方法をご覧ください。

目次

民泊の写真で予約の入りが変わる理由|カバー写真と掲載順の役割

一棟貸し専門予約サイトTABILMOの施設検索一覧ページ

結論から言うと、写真の枚数や画質より先に効くのは、どの1枚を先頭に置くかです。

検索結果で見られている、最も重要な1枚目の写真

ゲストが宿を探すとき、最初に見ているのは施設一覧の画面です。そこに表示されるのは物件名と価格、そしてサムネイル1枚。この段階で「詳細ページ開くかどうか」が決まるため、2枚目以降がどれだけ良くても、1枚目で選ばれなければ見てもらえません。

最も汎用性が高いのは横長画像です。例えばTABILMOやAirbnbだと施設検索の一覧画面では、横長画像が表示されます。そのため、カバー写真は横長で、その宿の性格が一目で伝わる1枚を選ぶのが基本になります。

一棟貸しなら、広いリビングや庭・テラスといった「みんなで集まる場所」が候補になりやすいでしょう。玄関や廊下のような限定的な情報しか持たない写真を先頭に置くと、一覧では埋もれてしまいます。

逆に言えば、開いてもらえたあとは2枚目以降がすべて比較の対象になります。つまり、1枚目は「開いてもらうための写真」、2枚目以降は「決めてもらうための写真」と役割が分かれるということです。

一棟貸しは「部屋」ではなく「棟まるごとの体験」を見せる

ホテルや1部屋単位の民泊であれば、部屋の内観が伝われば判断できます。しかし一棟貸しを探している方は、たいていグループや家族での滞在を前提にしています。知りたいのは「何人で泊まれるか」「みんなでどう過ごせるか」です。

そのため一棟貸しの写真では、次の3点が伝わる構成にすることが重要になります。

  • 定員の根拠 — 寝室が何室あり、それぞれどんなベッド構成か
  • 集まれる場所 — リビング・ダイニングの広さと席数
  • その宿ならではの体験 — 庭、BBQスペース、テラス、眺望、温浴設備など

「きれいな部屋の写真が10枚あるのに寝室は1室しか写っていない」という掲載ページは珍しくありませんが、これでは定員6名と書かれていても実感が湧きません。書いてある情報を写真で裏づけるという発想が要ります。

予約が入る民泊写真の撮り方7つのコツ

民泊写真撮り方7つのコツ

ここからは実際の撮り方です。順番に押さえていけば、特別な機材がなくても掲載ページの印象は変わります。

① 明るさ — 日中の自然光を主役にして、室内照明も全部つける

もっとも差が出るのが明るさです。暗い写真は、それだけで部屋が狭く古く見えます。

基本は日中、晴れた日に、カーテンとブラインドを開けて撮ること。そのうえで室内の照明もすべて点灯させます。自然光だけだと窓際と奥で明暗差が出すぎるため、室内照明で影を和らげるイメージです。Airbnbも、採光と照明を活用すること、フラッシュを切って自然光を主光源にすることを推奨しています(2026年9月時点・Airbnbリソースセンター)。

時間帯は光が安定する午前中から昼過ぎが扱いやすく、窓の外が白く飛ぶ場合はHDR機能を使うと室内と窓外の明るさが両立します。

② 広く見せる構図 — 超広角に頼りすぎない

「広く見せたい」と思って超広角(スマートフォンの0.5倍など)を多用すると、壁や家具が引き伸ばされたり歪んだりして不自然になります。実物より広く見えること自体がのちのトラブルの種にもなるため、歪みが目立たない範囲の広角に留めておきましょう。

写真構図で重要なのは、レンズより立ち位置(カメラの位置)です。

  • 部屋の角から対角線方向に撮る — 部屋の角に視線が誘導され、奥行きが出て広く見えます
  • カメラの高さは腰から胸のあたり(1.2m前後) — 目線の高さより少し低めにすると、床面積が伝わりやすくなります
  • 手前に余計なものを置かない — 画面手前に椅子の背などが入ると圧迫感が出ます

③ 水平・垂直を合わせる

素人っぽく見える原因の一つが傾きです。ドア枠や柱、窓枠といった縦の線が斜めになっていると、部屋全体が不安定に見えます。カメラアプリのグリッド表示と水平インジケーターをオンにし、縦の線が画面の縦線と平行になるよう構えると傾きを抑えられます。

また、三脚があれば積極的に活用しましょう。三脚がない場合は、壁や家具にカメラを預けて固定するだけでも綺麗に撮影できます。

④ 生活感を消す線引き — ただし「用意されている物」は見せる

掃除と片づけは撮影の前提です。次のものは画面から外しましょう。

  • 私物(洗面台の歯ブラシ、リモコンの束、置きっぱなしの書類)
  • ゴミ箱、掃除道具、洗剤のボトル
  • 露出した配線、延長コード
  • 段ボールや保管中の備品

一方で、ゲストに提供するものはむしろ写すべきです。タオルをきれいに畳んで置く、食器を並べる、コーヒーセットをセッティングするといった見せ方は、「何が用意されているか」を写真で伝える役割を持ちます。何を備えるべきかで迷う場合は、民泊アメニティの選び方を参考にしてください。

⑤ 撮る順番と掲載順 

撮影と掲載の順番は、ゲストが宿を想像する順番に合わせます。

  1. カバー写真(その宿を象徴する1枚)
  2. リビング・ダイニング
  3. キッチン
  4. 寝室(全室。ベッド構成が分かる角度で)
  5. 水回り(浴室・洗面・トイレ)
  6. 外観・庭・テラス・BBQスペース
  7. 眺望や周辺環境

広い画・中くらいの画・寄りの画を混ぜるのもポイントです。部屋全体の写真ばかりだと単調になり、寄りの写真ばかりだと広さが伝わりません。

施設によっておすすめの設備や提供サービスは異なるので、自施設でもっとも押し出したいポイントを前の方に持ってくることもおすすめです。

⑥ 一棟貸しならではの撮り方

一棟貸し・貸別荘では、主に次の要素が判断材料になります。

  • 棟の全景 — 建物全体が分かる引きの1枚。駐車スペースが写ると車での利用を検討している方に伝わります
  • 寝室は全室 — 「和室8畳に布団4組」「ツインベッドの洋室」など、構成が違う部屋はすべて撮ります
  • 庭・テラス・BBQ — 設備だけを写すのではなく、テーブルと椅子をセットして「使っている状態」に近づけると伝わり方が変わります
  • 眺望 — 窓から見える景色は、窓越しの構図と、外に出て撮った景色の両方があると誤解が生まれにくくなります
  • 夕景・夜景を1枚 — 照明が灯った外観やテラスの写真は、一棟貸しの滞在イメージを補強します

また、実際に宿泊体験をする人物を写した画像は、施設を探すゲストが宿泊時のイメージを持ちやすく、比較検討の段階でのアドバンテージになります。

⑦ スマートフォンでどこまでやれるか

近年のスマートフォンであれば、十分に通用する写真が撮れます。優先して用意したいのは高価なカメラではなく、三脚(またはスマートフォン用ホルダー)やグリッド表示・HDRの設定です。どちらも水平の安定とブレ防止という、仕上がりに直結しますます。

一方でスマートフォンが苦手なのは、夜間や照明が暗い室内、そして極端に狭い部屋を歪みなく広く見せる場面です。ここで満足できない場合が、撮影代行を検討するタイミングの一つになります。

部屋づくりが先か、撮影が先か

順番としては、コンセプト → 部屋づくり → 撮影です。写真はあくまで「そこにあるもの」を伝える手段であり、ないものを作り出すことはできません。

撮影の前に部屋そのものを見直したい場合は、予約が入る部屋の作り方が参考になります。どんな宿として見せたいかが定まっていない場合は、民泊のコンセプトの決め方を先に確認しておくと撮影の方針もはっきりします。

逆に言えば、部屋づくりが固まっているなら、写真はいますぐ改善できて費用対効果が読みやすい打ち手です。ただし、写真を磨いても掲載先が1つだけなら、見てもらえる母数はその1つ分にとどまります。

民泊の写真撮影を外注する場合の料金相場はいくら?

民泊写真外注するといくらになるのか

外注する場合、一軒家・一棟貸しなら45,000〜65,000円、ワンルーム〜1Kなら25,000〜35,000円が目安になります。実際に公開されている金額から整理しました。

公開料金を出している4社から見た相場

以下は、民泊・宿泊施設向けの撮影サービスのうち、自社サイトに料金を公開している4社の内容です。

事業者公開されている料金含まれるもの出張費
Space Photo1R・1K 25,000円/1DK・2K 28,000円/1LDK 32,000円/2LDK 36,000円/3LDK以上 45,000円(いずれも税込)カット数保証(順に25・30・35・40・50カット)、画像補正・レタッチ込み、複数の予約サイトやSNSで使用可東京23区内 一律3,000円(税込)、100km以上は別途見積(5,000円〜)
民泊写真店1R・1K(30㎡以下)35,000円〜/マンション・アパートメント 45,000円〜/一軒家・大型物件 55,000円〜/リゾート・特別物件 65,000円〜(税込・税別の明記なし)撮影時間の目安は4〜7時間(リゾートは2日の場合あり)、納期は早い場合3〜4日・最長14日記載なし(全国対応と記載)
deltaphotoライトプラン 35,000円〜(税込・交通費込/2時間拘束)/スタンダードプラン 59,400円〜(税込・交通費込/4時間以上)/時間単価 12,500円/時(税別)撮影枚数無制限、商用利用ライセンス込み、納品は平均2日(最大1週間)プランは交通費込み。時間単価制は交通費相当額(東京23区内・大阪市内・名古屋市・福岡市内は2,000円)
PIXTAオンデマンド各プランの基本料金 22,000〜55,000円(延長料金・オプションは別途)——

※2026年9月24日時点

この4社から見えてくる目安は、次のとおりです。

物件の規模・依頼形態料金の目安
ワンルーム〜1K25,000〜35,000円
1DK〜2LDK28,000〜45,000円
一軒家・一棟貸し45,000〜65,000円
プラン制・時間制で依頼する場合22,000〜59,400円(時間単価なら12,500円/時 前後・税別)
出張費主要都市で2,000〜3,000円程度、遠方は別途見積(100km以上で5,000円〜の例あり)

この目安相場の注意点は3つ。全事業者の平均ではなく、料金を公開している4社の横断であること。税込・税別の表記や間取りの区分が各社で異なること。そして各社とも個別見積を前提としていることです。実際、Space Photoは価格表に「こちらの表のお部屋のサイズ・カット数は目安としてご確認ください」と明記し、規模の大きい物件は1軒ごとの見積としています。民泊写真店の金額も「1R・1K(30㎡以下)¥35,000〜」となっています。

一軒家・一棟貸しは45,000〜65,000円が目安

一棟貸しのように部屋数が多く外観や庭もある物件は、撮る対象が多く撮影時間が長くなるため、上の帯の中でも高い方に寄ります。

複数の宿を運営している場合は、同日にまとめて撮れるかで総額が変わることもあるので、見積時に確認しておくとよいでしょう。

料金を動かす4つの要素

金額の差は、おおむね次の4点から発生します。逆に言えば、見積を比べるときはこの4点を揃えて比較するのが良いです。

  1. 撮影時間 — 拘束時間で決まる料金体系か、間取りで決まる定額か
  2. 納品枚数・カット数 — 「保証枚数」があるか、「無制限」か、追加料金が発生するか
  3. レタッチ(画像補正) — 基本料金に含まれるか、オプションか
  4. 出張費・対応エリア — 一律か実費か。遠方の物件では総額への影響が大きくなります

定額を出さず、見積り方式の事業者もある

なお、サイト上に定額を掲示していない事業者もあります。39PHOTOは地域と間取りを入力する見積りシミュレーター方式を採っており、諸経費込みの金額がその場で提示される仕組みです(2026年9月24日時点)。

大枠として、間取り・立地・撮影時間で金額が動く性質のサービスであると考えておくとミスマッチが少なくてすみます。

自分で撮るか、外注するか

自分で対応するか外注するかは、次の4つの軸で考えると整理しやすいです。

判断軸自分で撮るほうが向く外注するほうが向く
物件の規模ワンルーム〜1LDK程度で、明るい部屋一棟貸し・一軒家など部屋数が多い、外観や庭もある
明るさの条件日中に十分な自然光が入る北向き・窓が小さい・地下など、暗さを機材で補う必要がある
かけられる時間撮影と選別・補正に半日〜1日使える本業があり、撮り直しの時間が取れない
撮り直しの頻度内装や備品をよく変えるため、自分で更新したい数年は構成を変えない予定で、1回の質を優先したい

金額の面でも考えてみます。一棟貸しの外注費は45,000〜65,000円が目安ですが、これは1泊2〜3万円の物件なら2〜3泊分の売上にあたります。掲載写真は数年使うものなので、稼働が数泊分でも改善すれば回収できる計算です。判断に迷う場合は、まず自分で撮ってみて、暗さや広さの表現で納得できなければ外注するという順序で進めるの推奨します。

なお、自分で撮る場合でもカバー写真だけプロに頼むという選択肢もあります。一覧画面で最初に見られる1枚だけに投資するパターンで、一考に値します。

民泊の撮影代行の選び方|6つの判断基準

民泊写真撮影代行の選び方

金額だけで選ぶと、あとから「思っていた写真と違う」「他の予約サイトに使えない」といった問題が出てきます。いくつかのサービスを、次の6点で比べみるのがおすすめです。

① 民泊・宿泊施設の撮影実績があるか

同じ「室内撮影」でも、不動産の販売用写真と宿泊施設の集客用写真は目的が違います。前者は間取りや設備を正確に伝えるもの、後者は「ここで過ごしたい」と思わせるものです。実績ページに民泊・ホテル・旅館の事例があるか、一棟貸しのような大型物件の経験があるかを確認しておくと安心です。

② 納品枚数・カット数が保証されているか

「撮影時間2時間」とだけ書かれ枚数の記載がない場合、納品が想定より少なくなることがあります。Space Photoのように間取りごとのカット数保証を示す事業者もあれば、deltaphotoのように撮影枚数無制限の事業者もあります。どちらが有利かは物件の規模によって変わるので、民泊施設の運営方針や掲載サイトを考慮して判断してください。

③ レタッチ(画像補正)が料金に含まれるか

撮影後の明るさ・色味の調整は、仕上がりを大きく左右する工程です。基本料金に含まれるのか、別料金なのかは必ず確認しましょう。

④ 複数の予約サイトに掲載してよいか

ここは見落とされやすいのポイントです。撮った写真をAirbnbだけでなく、他の予約サイトや自社サイト、SNSにも使えるかは、契約によって変わります。

Space Photoは撮影した写真をAirbnbなどの予約サイトやSNSなどに自由に使える旨を案内しているほか、deltaphotoは商用利用ライセンスが含まれると説明しています(いずれも2026年9月24日時点)。こうした記載がない場合は、契約前に利用範囲を確認する必要がある点を抑えておきましょう。

⑤ 出張費と対応エリア

地方や離島の物件では、出張費が撮影料金と同程度になることもあります。目安として、Space Photoは東京23区内を一律3,000円(税込)とする一方、100km以上は別途見積で5,000円〜としています(2026年9月24日時点)。「全国対応」と書かれていても、遠方は別途見積の場合が多いので注意が必要です。

⑥ 撮り直し・納期の条件

天候で外観が撮れなかった、想定と違う仕上がりだった——こうしたときの撮り直しの可否と条件、そして納期を確認します。民泊写真店は納期を3〜14日、deltaphotoは平均2日(最大1週間)と示しており幅があります。繁忙期の直前に依頼するなら、この差が効いてきます。

タイプ別に見る撮影代行の選択肢

民泊の撮影を頼める代行先は、おおむね次の4つの類型に分かれます。それぞれ得意な領域が違うため、順位をつけるより、自分の物件と条件に合うサービス業者を選ぶのが合理的です。

類型特徴向いているケース例・探し方
民泊・宿泊施設の専門サービス民泊に特化。間取り別の定額プランを持つことが多いはじめての撮影で、相場どおりの品質を確実に得たいSpace Photo、民泊写真店、39PHOTOなど
空間・不動産撮影の事業者建築・インテリア撮影の技術が高いデザイン性の高い物件、建築的な見せ場がある物件「建築写真 撮影」「空間撮影 + 地域名」で地域の制作会社を探す。施工事例に宿泊施設があるかを確認
カメラマンマッチング型全国のカメラマンを手配。時間単価制が中心地方・遠方の物件、複数拠点をまとめて手配したいPIXTAオンデマンド、deltaphotoなど
クラウドソーシング型個人カメラマンに直接依頼。価格の幅が広い予算を抑えたい、小規模物件ランサーズ、ココナラなど。いずれも民泊撮影の出品がある

いずれのサービスにおいても、選定にあたっては上で紹介した6基準を参考にしつつ、条件を揃えて比較することをおすすめします。

外注した写真は誰のもの?著作権と画像を使える範囲

民泊撮影代行に撮ってもらった写真は誰のものなのか

写真の二次利用については、金額よりも後々の影響が大きい部分です。

結論だけ先に言えば、写真の著作権は原則として撮影した人に発生し、料金を払った側のものにはなりません。そのため契約時に使える範囲を決めておく必要があります。

著作権は原則として「撮影した人」に発生する

民泊施設の写真は、原則「撮影者」に著作権が発生します。

著作権法は、著作者を「著作物を創作する者」と定めており(※1)、著作者は著作者人格権と著作権を享有すると定められています(※2)。また、この権利の発生に登録などの手続きは必要なく、「いかなる方式の履行をも要しない」とされています(※3)。

つまり、写真の著作権はシャッターを切った人に、撮影した時点で自動的に発生するのが原則です。料金を支払ったから依頼した側のものになる、という仕組みにはなっていません。

法人が著作者になる例外として「職務著作」の規定があります。法人等の発意に基づいてその業務に従事する者が職務上作成し、法人等の名義で公表する著作物は、別段の定めがない限り法人等が著作者となるというものです(※4)。ただし外部のカメラマンに業務委託で依頼した場合は、一般にこの「業務に従事する者」には当たらないと整理されます。

※1 著作権法第2条第1項第2号 ※2 著作権法第17条第1項 ※3 著作権法第17条第2項 ※4 著作権法第15条第1項

契約で決めておきたい3点

そこで運営上の答えは、契約で利用範囲を明示しておくことになります。最低限、次の3点は書面やメールで確認しておきたいです。

  1. 利用できる媒体の範囲 — 特定の予約サイトだけか・自社サイト・SNS・チラシまで含むのか
  2. 利用できる期間 — 期間の定めがあるのか、無期限か
  3. 二次利用の可否 — 写真をトリミング・加工して使ってよいか、広告に使ってよいか

前章で触れたとおり、複数の予約サイトでの使用可や商用利用ライセンスを案内している事業者もあります。記載がない場合に「たぶん大丈夫だろう」と進めてしまうと、あとから他のOTAへ掲載を広げたいときに動けないケースもあるので、事前の確認が非常に重要です。

「著作権を譲渡」と書いてあっても、範囲は確認する

契約書に「著作権を譲渡する」と書かれていても、実は全部の権利が移るとは限りません。著作権は全部または一部を譲渡できますが、著作権法で次のように定められています。

著作権法第61条第2項
著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

第27条は翻案権(著作物を使って別の著作物を作る権利)、第28条は二次的著作物の利用に関する権利です。つまり「著作権を譲渡する」とだけ書かれた契約では、写真を加工して作り替えるといった権利は撮影者に残っていると推定されます。契約書に「第27条および第28条の権利を含む」の記載があるかや、明確に二次的著作物の利用が許可されているかを確認しておくと確実です。

写真と実物の差はどこまで許されるか|景品表示法の考え方

判断基準になるのは「現地に着いたゲストが驚かないか」です。「少しでもよく見せたい」と思うのは自然なことですが、宿泊サービスを提供する事業者は、自らの表示(予約サイトに載せる画像など)について景品表示法の適用を受けます。

景品表示法が禁じているのは「著しく優良」と示す表示

景品表示法では、事業者が提供する商品やサービスの取引について、その内容が実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁止しています。対象となるのは、「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある」と認められるものです。これは優良誤認表示と呼ばれます。

ここで重要なのは、ある写真が違反にあたるかどうかは、表示全体から判断されるという点です。個別の写真1枚を取り出して「これは違反」「これはセーフ」と線を引けるものではありません。

実務上の線引き

実務上の考え方としては、次のように整理できます。

通常の範囲と考えられるもの

  • 明るさ・コントラスト・色味を、実際の見え方に近づける補正
  • 水平・垂直の補正、レンズの歪みの補正
  • 撮影日のたまたまの散らかりを片づけてから撮ること

避けたいもの

  • 超広角を多用して、実際よりも著しく広い部屋に見せること
  • 存在しない設備・家具を合成すること、すでに撤去した設備の写真を使い続けること
  • 隣接する建物や電線など、立地の実態にあたる要素を消すこと
  • 眺望を実際より良く見せる加工

判断に迷ったときは、この写真を見て来たゲストが、現地に着いたときに「全然違うじゃん」「騙されたわ」などと驚くかを基準にすると考えやすいでしょう。著しく異なっていて驚かせてしまう写真は、景品表示法の観点だけでなく、その後のレビュー評価にも跳ね返ってきます。

予約サイト側の写真ルール

法令とは別に、掲載する予約サイトごとに写真の要件があります。法令の範囲内で各社が定める私的なルールであり、法令より細かい注文が付くこともあります。

Airbnbのヘルプセンターでは、次のように案内されています。

  • 解像度は1024×683ピクセル以上を使用すること
  • 横長(landscape)で撮影すること。検索結果の写真はすべて横長で表示されるため、縦長写真ではスペースを十分に伝えられない
  • 空間を清潔で整理された状態にすること、採光と照明を活用すること
  • ユニークな設備や特徴、アクセシビリティに関する設備を写すこと

またAirbnbには、掲載写真が実際の物件と一致しているかを確認する手続きがあります。対象になった場合、ホストは現地を訪問し、既存の写真と同じ角度から、Airbnbのアプリを使って新しい写真を撮影して送信する必要があるとされています。カメラロールにある既存の写真をアップロードすることはできず、送信した画像は確認のために使われるもので、ゲストには表示されないと説明されています(2026年9月時点)。

Booking.comの公式パートナーハブ(2026年9月時点)では、より具体的な数値が示されています。

  • 最低解像度は2048×1080ピクセル、推奨は4000×3000ピクセル
  • 最低10枚(各部屋4枚以上、浴室・トイレは1枚以上)。24枚以上が推奨
  • 横長の写真を推奨
  • 透かし(ウォーターマーク)、白黒写真、魚眼レンズの使用は推奨されない

掲載先が複数にわたる場合は、もっとも要件が厳しいサイトに合わせて撮っておくと、使い回しがしやすくなります。上に挙げた範囲では、Booking.comの2048×1080ピクセルが基準になります。

撮った写真を活かすには、見てもらう場所も要る

写真を磨く目的は、最終的には予約を増やすことです。ただし、どれだけ良い写真を用意しても、掲載している場所が1つだけなら、見てもらえるのはそこで表示された時だけにとどまります。

写真の改善と掲載先の見直しは、セットで考えると効果が出やすいです。どの予約サイトに出すかで迷っている場合は民泊の集客サイトを比較して選び、写真を変えた効果をどの指標で見るかを決めたい場合は民泊の稼働率の目安と上げ方を参考に考えましょう。

写真を差し替えたら、差し替えた日付を記録しておくのがおすすめです。掲載順を入れ替えただけでも反応が変わることがあり、記録がないと何が効いたのか分からなくなります。

よくある質問

FAQ-question

Q1. 民泊の写真撮影の相場はいくらですか?

2026年9月時点での料金を公開している4社を比較すると、

・ワンルーム〜1Kで25,000〜35,000円
・1DK〜2LDKで28,000〜45,000円
・一軒家・一棟貸しで45,000〜65,000円 が目安です。

プラン制・時間制なら20,000〜60,000円程度、出張費は主要都市で2,000〜3,000円程度となっています。事業者に依頼するときは、多くの場合で個別見積が前提のため、最終的な金額は各社へご確認ください。

Q2. 撮影代行はどうやって選べばいいですか?

次の6点で条件を揃えて比較します。①民泊・宿泊施設の撮影実績、②納品枚数の保証、③レタッチが料金に含まれるか、④複数の予約サイトに掲載してよいか、⑤出張費と対応エリア、⑥撮り直しの条件と納期です。特に④は見落とされやすく、あとから掲載先を増やしたいときに影響します。

Q3. スマートフォンで撮った写真でも掲載して大丈夫ですか?

明るい室内であれば十分に通用します。三脚で水平を安定させ、グリッド表示とHDRをオンにするだけでも仕上がりは変わります。機材の差が出るのは夜間や暗い室内、極端に狭い部屋を歪みなく見せる場面です。

Q4. 写真は何枚くらい必要ですか?

予約サイト側の基準としては、Booking.comが最低10枚(各部屋4枚以上、浴室・トイレは1枚以上)、推奨24枚以上としています。ただし、とりあえず枚数を増やすより必要な場所がすべて写っているかが重要です。

一棟貸しなら、リビング・ダイニング・キッチン・寝室(全室)・水回り・外観・庭やテラス・眺望が揃っているかを目安にしてください。とくに寝室が複数あるのに一部しか写っていないと、定員の根拠が伝わりません。

Q5. 外注した写真を別の予約サイトにも使えますか?

外注時の契約内容によります。写真の著作権は撮影した人に発生するのが原則であり(著作権法第2条第1項第2号・第17条第1項)、料金を支払ったことだけで依頼した側に権利が移るわけではありません。記載がない場合は、契約前に利用範囲・期間・二次利用の可否を確認しておく必要があります。

Q6. 実際より広く見える写真は問題になりますか?

景品表示法第5条第1号は、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁止しています。ただし違反にあたるかどうかは表示全体から判断されるため、一概に線は引けません。

明るさや色味を実際の見え方に近づける補正は通常の範囲と考えられる一方、超広角の多用で著しく広く見せることや、存在しない設備の合成は避けるべきです。

まとめ

民泊施設の写真で、いちばん費用対効果があるのは魅力的なカバー写真にするです。予約サイトでは、一覧画面で最初に見られる1枚で詳細まで見るかどうかが決まり、そこを突破しないと残りの写真は見られません。自分で撮るときも、明るさと水平・垂直といったポイントを抑えるだけで大きく印象は変わります。一棟貸しであれば、寝室を全室撮って定員の根拠を見せておくことも欠かせません。

外注を考えるのは、暗さや部屋数の多さなどを自分の機材やスキルでは補えないと感じたときです。一軒家・一棟貸しの相場は45,000〜65,000円が目安になります。依頼するなら、撮った写真を複数の予約サイトに使えるかを契約で確かめておきましょう。写真の著作権は原則として撮影者に発生するため、ここを曖昧にすると、あとから使い回したいときに動けなくなります。

そして、実物より著しく良く見せる加工は結局レビューで返ってきます。「現地に着いたゲストが残念に思うほど驚かないか」を基準にすると、どこまで補正してよいかで迷わなくなりますよ。

運営全体のどこに写真を位置づけるかを確認したい方は、民泊経営の全体像もあわせてご覧ください。