無断で人数を増やされたり、備品が持ち去られたり、近隣から苦情が入ったり。
民泊を運営していると、「見えていれば防げたのに」と感じる場面があります。そこで防犯カメラを検討するオーナーは多いのですが、いざ調べ始めると「室内に付けてよいのか」で止まりがちす。私たちTABILMOは一棟貸し専門のOTAとして、家主不在型の施設を数多く見てきました。その経験から言えるのは、設置場所の線引きでつまずいているオーナーも多いということです。
先に結論をお伝えすると、屋内への設置を禁じている法律はありません。制限しているのはAirbnbなどの掲載サイトの規約です。そして屋外は、プライバシー性が強く求められる場所を除けば設置できます。この2つを重ねると、玄関まわりの屋外側が最適解に近い設置場所という答えが見えてきます。この記事で、法令 → 掲載サイトの規約 → 自主的な配慮という順で事実関係を整理し、場所別の可否、機器選びの判断軸、無人運営全体の防犯設計まで確認していきましょう。
民泊に防犯カメラは設置できる?先に結論

判断を間違えないために、まずルールの上下関係を押さえます。防犯カメラをめぐる決まりごとは、次の3階層です。
- 法令(住宅宿泊事業法・旅館業法・個人情報保護法・自治体の条例) — 最上位。守らなければ営業そのものに関わります
- 掲載サイトの規約(Airbnbなど) — 法令の範囲内で各社が定める私的なルール。法令より厳しいことがあります
- 自主的な配慮 — 近隣やゲストとの関係を保つための運用上の工夫
多くの記事が「民泊の室内カメラは違法」と説明していますが、これは正確ではありません。屋内が制限されるのは主に2階層目、掲載サイトの規約が理由です。法令は室内カメラを一律に禁じてはいません。
「法律違反」と「規約違反」は分けて考える
この区別は実務に直結します。規約違反で生じるのは掲載停止やアカウント停止といったサイト側の措置である一方、法令違反は営業許可そのものに関わるためです。
法令の領域にあたるのは、私的空間の撮影がプライバシーの侵害と判断され得ること、撮影した映像に個人情報保護のルールが及ぶことです。これに対し「リビングにカメラを置けない」「電源を切っていても設置自体が不可」といった制限は、Airbnbの規約の領域になります。以降では法令の側から順に見ていきます。
法令上の扱い——民泊新法と旅館業法で何が求められるか
結論から言うと、住宅宿泊事業法(民泊新法)にも旅館業法にも、防犯カメラの設置を一律に禁じる規定はありません。そして多くの民泊では、設置が義務づけられているわけでもありません。義務になるのは限られた営業形態だけです。
住宅宿泊事業法(民泊新法)——義務ではないが、室内設置も想定されている
民泊新法に、防犯カメラの設置を義務づける規定はありません。
注目しておきたいのは、国が室内カメラの存在を前提に注意喚起をしている点です。観光庁「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」(令和6年12月24日最終改正)の宿泊者名簿に関する留意事項には、次のように記されています。
本人確認のため室内にカメラ等が設置されることも想定されるが、当該カメラが盗撮などプライバシーの侵害に悪用されることがないよう、チェックイン時以外は通信や記録を行わないなどの対応を取ることが望ましい。
つまり国は、本人確認の目的で室内にカメラが置かれることを想定したうえで、使い方に注文を付けているわけです。禁止しているわけではありません。
なお民泊新法の本人確認そのものは、対面またはICT(テレビ電話・タブレット端末など)で行う必要がありますが、これは本人確認用の機器という位置づけです。要件は民泊の本人確認に求められる要件で解説しています。
旅館業法——簡易宿所なら義務ではないが、営業種別で変わる
旅館業の許可を取って運営する場合は、営業の種別によって結論が変わります。ここを混同した説明が多いので、順に整理します。
まず、民泊を旅館業法で運営する場合、多くは簡易宿所営業にあたります(種別の違いは3種類の民泊許可の違いをご覧ください)。この簡易宿所営業について、厚生労働省はFAQで次のように示しています。
なお、簡易宿所営業においては、法令において玄関帳場等の設置義務は課せられていないが、玄関帳場等の設置又は本改正により明示されたICTを活用した本人確認等のための設備を有することが望ましい。
つまり簡易宿所営業では、防犯カメラはもちろん玄関帳場(フロント)そのものも法令上の義務ではありません。カメラでなくても、タブレットや自動チェックイン機器による本人確認で対応する余地があります。
一方、旅館・ホテル営業では扱いが異なります。同じ通知は、フロントの設置を原則としつつ、一定の要件を満たせば「玄関帳場又はフロントに代替する機能を有する設備」を備えているものとしてフロントを設置しないことができる、としています。その要件の一つが次の内容です。
次の①又は②のいずれかの方法により宿泊者の本人確認や宿泊者以外の出入りの状況の確認を実施すること。
① 営業者自らが設置したビデオカメラ等を用いて、常時鮮明な画像により実施すること。
② (ICTを活用した本人確認を実施したうえで)本人確認を受けた者に交付した鍵がなければ宿泊者専用区域に無断で出入りできないこととしつつ、宿泊者専用区域に入ろうとする者の出入りの状況について、当該者の顔を判別できる角度で、防犯のために営業者自らが設置したビデオカメラ等により鮮明な画像で録画して…確認を実施すること。
①②どちらを選んでもビデオカメラ等が登場するため、旅館・ホテル営業でフロントを置かない場合に限り、カメラは「付けてよいか」ではなく「満たすべき要件」になります。画質はFAQで「現に設置されている防犯カメラによる対応でも差し支えない」とされています。
整理すると次のとおりです。
| 営業形態 | カメラの位置づけ |
|---|---|
| 住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出 | 義務なし。室内設置も禁止されていない |
| 旅館業法・簡易宿所営業(民泊の多くはこちら) | 義務なし。玄関帳場等またはICTによる本人確認設備を有することが望ましい |
| 旅館業法・旅館/ホテル営業でフロントを設置しない場合 | ビデオカメラ等が代替設備の要件 |
出典: 厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領」(令和7年3月11日改正・令和7年4月1日施行)および同改正に関するFAQ(令和7年3月11日事務連絡)
なお民泊は、自治体の条例による上乗せ規制が多い分野です。ご自身の営業形態でどこまで求められるかは、許可・届出先の保健所や自治体の担当に確認してください。
Airbnbの監視カメラポリシー(2024年4月30日施行)
法令の次に確認するのが掲載サイトの規約で、実務上はここが最も厳しい制約になります。
Airbnbは2024年4月30日に施行したポリシーで、ホストが宿泊施設の屋内スペースを監視する防犯・監視カメラや録画・録音機器を設置することを、共用部を含めて禁止しました。注意したいのは、電源が切られていても設置自体が禁止という点です。「使っていないから問題ない」という理屈は通りません。ネット上には施行前の情報も残っているため、「リビングなら開示すれば大丈夫」という説明を参考にカメラを付けたままの場合は見直しが必要です。
屋外への設置は認められています。ただし設置場所をリスティング(掲載ページの説明文)に必ず記載する必要があり、囲い付きのシャワーや屋外サウナのようにプライバシー性の高いエリアには設置できません。
禁止されるもの・認められるもの
| 機器 | 屋内 | 屋外 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 防犯・監視カメラ | ✕ 設置不可(電源オフでも不可)※旅館業許可施設の屋内玄関のみ例外 | ○ 設置可 | 屋外はリスティングの説明文に設置場所を記載。囲い付きシャワー・屋外サウナ等は不可 |
| 録画・録音機器 | ✕ 設置不可 | — | 屋内スペースの監視を目的とする機器が対象 |
| 騒音モニター(音声を録音しないもの) | △ 条件つきで可 | — | 寝室・バスルーム・就寝エリアは不可。設置していることの開示が必要(屋外設置についてはポリシーに記載なし) |
出典: Airbnbヘルプセンター「監視カメラと録音・録画機器に関するポリシー」(2026年7月21日確認)
日本の旅館業許可施設には例外がある
見落とされやすい点ですが、Airbnbのポリシーには日本向けの例外が明記されています。
日本国内の旅館業営業許可を取得している特定の宿泊施設の場合、該当する法律により、宿泊施設の屋内玄関のみを監視するカメラを設置することがホストに義務付けられている場合があります。
前章の「旅館・ホテル営業でフロントを置かない場合はビデオカメラ等が要件」という旅館業法側の基準に対応した例外です。法令が求めるものを規約が禁じることはないという上下関係が、ここに表れています。
ただし例外の範囲は狭く、大半の民泊オーナーには当てはまりません。まずは以下の3つを抑えておきましょう。
- 対象は旅館業の営業許可を取得し、かつ法令上カメラが必要な施設に限られます。民泊新法の届出で運営している施設や、義務のない簡易宿所営業は含まれません
- 認められるのは屋内玄関のみを監視するカメラです。リビングや廊下、寝室に広げることはできません
- 「旅館業の許可があれば屋内のどこでも撮ってよい」という意味ではありません
例外に当たるか判断が付かない場合は、許可先の保健所で必要な設備要件を確認するのが確実です。逆に言えば、義務がないのであれば屋内に付ける理由はありません。
騒音モニターは条件つきで屋内も可
騒音トラブル対策として関心が高いのが騒音モニターです。これは騒音のレベルと持続時間を計測する機器で、音声そのものを録音しないタイプに限り、屋内への設置が認められています。カメラは屋内に置けなくても、騒音の検知はできるということです。
ただし騒音モニターは「うるさくなったら通知が届く」仕組みであり、それだけで問題が解決するわけではありません。近隣への対応やハウスルールの設計まで含めた進め方は、民泊の騒音トラブルへの対処法で詳しく解説しています。
設置してよい場所・避けるべき場所【場所別の可否早見表】

設置の判断に迷いやすい場所を、可否の目安として一覧にまとめました。
| 場所 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 玄関の外・門扉まわり | ◎ 最適解 | 規約・法令の両面で問題が生じにくく、入退室の記録と抑止効果が両立する。ここから始めるのが基本 |
| 庭・駐車場・敷地内の通路 | ○ | 隣家の窓や道路の通行人が大きく写り込まない画角にする |
| 建物の外周・勝手口 | ○ | 死角になりやすく、設置価値が高い |
| 玄関の内側(土間・三和土) | ✕(例外あり) | 屋内扱いのため原則不可。旅館・ホテル営業でフロントを置かず、法令上カメラが必要な場合に限り例外(前章参照)。民泊新法の届出・簡易宿所営業は例外に当たらない |
| 玄関から続く廊下・階段 | ✕ | 例外は「屋内玄関のみ」。廊下まで広げることはできない |
| リビング・ダイニング | ✕ | 共用部であっても屋内は不可 |
| 寝室 | ✕ | 屋内かつ私的空間 |
| 浴室・脱衣所・トイレ | ✕ | 最も重大。規約違反に加えプライバシー侵害の問題が生じる |
| 囲い付きの屋外シャワー・屋外サウナ | ✕ | 屋外だがプライバシー性が高く、ポリシー上設置できない |
| ゲスト立入禁止のオーナー専用区画 | △ | 施錠された倉庫・機械室など、ゲストが使用しない区画は前提が異なる。下記の手順で確認する |
迷ったときの原則はシンプルです。「ゲストが使う空間の内側は撮らない」。
そして実際に選べる場所を並べると、玄関まわりの屋外側が最適解になります。入退室という最も知りたい情報が記録でき、規約にも法令にも触れず、プライバシー上の問題も生じにくいためです。まず1台という段階なら、ここ以外を選ぶ理由はほとんどありません。
△のオーナー専用区画は、次の順で判断しましょう。ゲストが立ち入る可能性が少しでもあるなら、屋内スペースとして扱い設置は見送ります。完全に施錠して立入を遮断している区画なら、掲載サイトのヘルプで規約を確認し、判断が付かなければサポートへ問い合わせるのが確実です。照会した記録を残しておくと、後から指摘を受けたときにも説明ができます。
なお屋外カメラでも、画角に隣家の敷地や窓が大きく入ると近隣トラブルの原因になります。設置後に実際の映像を確認し、必要に応じて向きやマスク設定を調整しておくと安心です。
プライバシーと個人情報で押さえる3点
設置場所が決まっても、映像を扱う以上は運用面の配慮が必要になります。
私的空間を撮らない——プライバシー侵害の線引き
浴室・脱衣所・トイレ・寝室のように、人が「他人に見られない」ことを当然に期待する空間の撮影は、プライバシーの侵害と判断される可能性があります。防犯という目的があっても、それだけで正当化されるとは限りません。
録画データは「集めたら管理義務が生まれる」
個人情報保護委員会のガイドラインに関するQ&A(令和5年5月更新)では、防犯カメラで撮影された画像から特定の個人を識別できる場合、その画像は個人情報保護法上の「個人情報」に該当すると整理されています。
つまり「録っておしまい」ではなく、保管と取り扱いのルールを決めておく必要があります。最低限、次の3つは決めておくのがおすすめです。
- 誰が映像を見られるか(アクセスできる人を限定する)
- どのくらいの期間保存し、いつ消すか
- 何のために使うか(防犯目的に限定し、他の用途に転用しない)
保存期間については、法令で一律の日数が定められているわけではありません。同Q&Aが示すのは、利用の必要性を考慮して保存期間を設定し、必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めるという考え方です。決めた期間で確実に消す運用にしておくと、管理の負担も抑えられます。
撮っていることを先に伝える
Airbnbのポリシーでも屋外カメラと騒音モニターの開示は必須ですが、これはトラブル予防の観点からも重要になります。伝える場所は予約前に読める掲載ページの説明文が基本で、加えて現地の入口付近に掲示しておくと、ゲストは到着した時点で状況を把握できます。
大切なのは、「隠していない」状態を作ることです。ゲストが滞在中に想定外のカメラを見つけると、悪意がなくても不信感につながり、レビューに残ることがあります。事前に書いてあれば、同じカメラが「管理が行き届いた宿」という印象に変わります。
なお、宿泊者名簿の作成は、カメラとは別に法令上の対応が必要な領域です。記載事項と保存の実務は宿泊者名簿の書き方と保存方法にまとめています。
民泊向け防犯カメラの選び方(3つの判断軸)

設置場所が決まったら、次は機器の選定です。ここでは製品そのものの比較ではなく、家主不在型で効いてくる3つの判断軸を挙げます。民泊で結果を分けるのは「どの製品か」よりも、無人でも回る構成になっているかだからです。
クラウド録画型か、本体録画型か
本体録画型は、カメラ本体のSDカードやレコーダーに映像を保存する方式です。月額費用がかからない一方、機器そのものが盗まれたり壊されたりすると、映像も一緒に失われてしまいます。
クラウド録画型では、映像がインターネット経由でサーバーに保存されます。月額費用は発生しますが、機器が持ち去られても映像は残るという違いがあります。セーフィー(Safie)のようなクラウド録画サービスのほか、セコムやALSOKといった警備会社も画像のクラウドサービスを提供しています。
家主不在型ではその場に駆けつけられないことが前提のため、証拠を確実に残す観点ではクラウド録画型のほうが相性がよいといえます。費用は買い切り型が初期費用に、サービス型が月額に寄る構成です。複数棟を遠隔で見るなら、まとめて管理できるサービス型のほうが手間は減ります。
電源と通信
屋外設置で最初につまずくのが電源です。軒下にコンセントがない物件は珍しくありません。選択肢は主に3つで、物件の条件で選び分けます。
- コンセント式+Wi-Fi: 軒下や外壁に電源があるなら第一候補。屋外まで電波が届くかの確認が欠かせない
- バッテリー/ソーラー+LTE: 電源も配線も引けない場所向け。通信費と充電の管理が発生する
- 有線(PoE): LANケーブル1本で電源と通信をまかなう方式。安定性は高く、リフォームで工事を組み込めるタイミングなら有力
Wi-Fiで運用する場合は、置きたい場所でスマートフォンの電波状況を事前に確かめておくと失敗を防げます。
遠隔で見られるか——家主不在型の前提
最後の軸は遠隔性です。スマートフォンからいつでも映像を確認できるか、異常を検知したときに通知が届くか。この2点の有無で、実際に使う頻度は大きく変わります。
入退室そのものを制御する手段としては、スマートロックが対になる設備です。誰がいつ解錠したかの記録が残るため、カメラの映像と組み合わせると状況を把握しやすくなります。選び方は民泊向けスマートロックの比較で解説しています。
カメラだけに頼らない、無人運営の防犯設計
ここまで防犯カメラを見てきましたが、カメラは「起きたことを記録する」手段であって、「起こさせない」手段ではありません。無人運営のセキュリティは、次の3層で考えると設計しやすくなります。
- 入口: 本人確認と入退室制御。誰が入るのかを事前に把握する
- 抑止: 屋外カメラと開示。「見られている」状態を作る
- 事後: 記録と保険。起きてしまった場合に回復できるようにする
このうち入口の層は、セルフチェックインの設計に直結します。本人確認をどこで行い、鍵をどう渡すかによって、そもそも入ってくる人の顔ぶれが変わるためです。仕組みの選び方はセルフチェックインシステムの選び方にまとめました。優先順位を付けるうえでは、実際にどのようなトラブルが起きているかを知っておくことも役立ちます。事例は民泊で実際に起きたトラブル事例で整理しています。
この3層は、どれも「入ってきたゲストにどう対処するか」の話です。最後に、その手前にある部分にも触れておきます。
そもそも、どんなゲストが予約するかです。無断パーティーや人数超過が起きる確率は、少人数・匿名性の高い予約が入りやすい掲載先と、家族やグループでの利用が中心の掲載先とで違ってきます。カメラを増やすより、この段階で予防できることも少なくありません。
観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」によると、2026年5月15日時点で稼働中の届出住宅数は40,745件(届出件数63,658件、事業廃止件数22,913件)。供給が増えるほど、どの掲載先で誰に届けるかの選択は重みを増します。TABILMOは一棟貸し専門のOTAで、家族やグループでの滞在を目的とするゲストが中心です。防犯設備を整えることと並行して、どこに掲載するかを見直すことも、リスクを下げる有効な手段になります。
民泊の防犯カメラに関するよくある質問
民泊に防犯カメラの設置は義務ですか?
多くの民泊では義務ではありません。住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出で運営する場合、防犯カメラの設置を義務づける規定はありません。
旅館業法で運営する場合も、民泊の多くが該当する簡易宿所営業については、厚生労働省のFAQで「法令において玄関帳場等の設置義務は課せられていない」とされています(玄関帳場等またはICTを活用した本人確認等のための設備を有することが望ましい)。
義務として求められるのは、旅館・ホテル営業でフロントを設置せず運営する場合で、このとき代替設備の要件としてビデオカメラ等が必要になります。加えて自治体の条例で独自の要件が定められている場合もあるため、許可・届出先の窓口で確認してください。
室内にカメラを付けていたことがゲストに知られるとどうなりますか?
Airbnbのポリシーでは屋内スペースへの設置が禁止されているため、規約違反として掲載停止やアカウント停止の対象になり得ます。加えて、私的空間を撮影していた場合はプライバシー侵害の問題も生じます。電源を切っていても設置自体が禁止されている点にご注意ください。
なお、日本の旅館業許可施設が法令上の要件として屋内玄関のみにカメラを設置する場合は、ポリシー上の例外として扱われます。
民泊の室内にカメラを設置するのは違法ですか?
室内へのカメラ設置そのものを一律に禁じる法令はありません。むしろ観光庁の住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)は、本人確認のため室内にカメラ等が設置されることも想定したうえで、チェックイン時以外は通信や記録を行わないなどの対応が望ましいとしています。
屋内が制限される主な理由は法令ではなくAirbnbなど掲載サイトの規約です。ただし浴室・脱衣所・寝室といった私的空間の撮影は、プライバシーの侵害と判断される可能性があります。
録画データはどのくらい保存すればよいですか?
法令で一律の保存期間が定められているわけではないため、防犯という目的に照らして必要な範囲で決めるのが基本になります。トラブルの多くは滞在中か直後に判明するため、次のゲストの滞在をまたぐ程度を一つの考え方として、決めた期間で確実に消す運用にしておくとよいでしょう。
ダミーカメラでも抑止効果はありますか?
一定の抑止効果は期待できるものの、記録が残らないため、実際にトラブルが起きたときには証拠になりません。ダミーカメラの扱いについて、Airbnbのポリシーに明示的な記載は見当たりません。ただし屋内スペースの監視を禁じる趣旨に照らすと、屋内への設置は避けておくのが安全といえます。費用を抑えたいなら、ダミーではなく安価な屋外カメラを1台導入するほうが確実でしょう。記録では回復できない損害には民泊で加入しておきたい保険で備えておくと安心です。
まとめ
民泊の防犯カメラは、法令が禁じているのではなく、掲載サイトの規約が屋内を制限している。
住宅宿泊事業法にも旅館業法にも室内カメラを一律に禁じる規定はなく、観光庁のガイドラインはむしろ本人確認目的の室内設置を想定しています。屋内が制限される主な理由は、Airbnbがポリシーで屋内の監視カメラや録画・録音機器を禁じているためです。
設置が義務になるのは、旅館・ホテル営業でフロントを置かずに運営する場合に限られます。民泊の多くが該当する簡易宿所営業では、玄関帳場等の設置義務も課されていません。
結論、多くのオーナーにとっての答えはシンプルです。屋内は法令上の必要がなく規約でも禁じられているので付けない。屋外の玄関まわりに1台置く。運用面では、私的空間を撮らないこと、映像の保管と利用のルールを決めておくこと、撮影していることを事前に伝えること。
機器選びでは、家主不在型を前提に「クラウド録画かどうか」「遠隔で見られるか」を軸にすると迷いませんよ。
まず取りかかるなら、お持ちの物件の図面か写真を開いて、玄関外・勝手口・駐車場のうちどこが死角になっているかに印を付けるところからです。そのうえで掲載ページの説明文に設置を記載すれば、規約と法律の両面をクリアした状態になります。制度面をあらためて確認したい方は、民泊の開業手順をまとめたガイドもあわせてご覧ください。