【空き家活用】や【副業収入】などで、最近注目されている【民泊】。
ただ、いざ民泊を始たいと思っても、「具体的に何をすればいいか分からない」「申請や始める際の流れが分からない」など様々な疑問が出てくると思います。
そこで、本記事では、【民泊の始め方】について解説していきます。
運営していく際の流れはもちろん、注意事項についても記載しているので、民泊運営を検討されている方は、是非最後までチェックしてください。
民泊事業の始め方と流れ
①物件選び・地域の運営可否の確認
民泊の経営で最も重要なプロセスとなるのが、物件選びです。
ターゲットにするユーザーのニーズを把握し、それを満たす物件を選定することがポイントとなります。
例えば、土地勘がなく団体利用の観光客をターゲットとする場合、駅から近く広い物件がおすすめ。
ビジネスマンをターゲットとする場合は、出張などで短期的に安く滞在できるコンパクトな物件が良いでしょう。
また、物件選びと併せて、その地域の「民泊事業の運営可否の確認」も必要です。
都市計画法に基づき、地域ごとに建物の用途を定めた「用途地域」が設定されているので、民泊運営が可能な地域なのか各自治体の窓口やホームページで必ず確認しておきましょう。
②消防法令の対応
防火対象物使用開始届出書の提出
民泊の営業開始の際、宿泊サービスを提供する7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を消防署に提出し、検査を受ける必要があります。
これは、防火対象物となる物件の安全性を確保するために非常に重要です。
届出先は、防火対象物を管轄する消防署になりますので、期限内に必ず提出しましょう。
また、一部の家主同居型民泊を除き、民泊には消防設備の設置が必須となっています。
消防設備が無い場合は設置工事を行う必要があり、工事の7日前までに工事内容を記載した「防火対象物工事等計画届出書」を管轄する消防署に提出しなければなりません。
これらのルールや手続きの時間を考慮に入れ、余裕を持った計画を立てておきましょう。
設備設置
民泊の消防設備に関しては、平成29年10月27日付けで出された「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて(通知)」に詳しく規定されています。
物件の種類や床面積、家主の居住の有無等などの条件から判定された「消防法令上の用途」による防火対象物の区分があり、それによって必要となる消防設備が異なります。
基本的に、民泊は不特定多数の人が出入りする「特定防火対象物」に該当するため、旅館やホテルと同等の消防設備の設置が必要です。
但し、いくつかの例外が設けられており、例えば「家主が不在とならず宿泊室の床面積の合計が50㎡以下」の場合、一般住宅と同じ扱いになり条件が緩和されます。
消防検査
これから民泊の営業を実施する物件が、消防法令上で自動火災報知設備の設置義務があるケースなど特定の条件に当てはまる場合は、消防用の設備の新設や改修工事が完了してから4日以内に「設置届」を管轄する消防署に提出し、消防検査を受けなければなりません。
家主同居型で50㎡以下の民泊を除き、殆どの民泊が消防検査を必要とする建物に該当するため、届出を怠らないよう注意が必要です。
実施日程は、設置届を提出する際に消防士と調整のうえ決定され、当日は火災予防担当の消防士が現地を訪れて消防設備の設置状況や設備が適切に機能するかの確認、必要な指導等を行い、そこで特に問題が無ければ「消防検査済証」が発行されます。
消防法令適合通知書の受領
「消防法令適合通知書」は、建物が消防法令に適合していることを消防機関が認めた際に発行される書面であり、住宅宿泊事業の届け出時に提出を求められます。
この書面を受領するためには、管轄する消防署に「消防法令適合通知書交付申請書」を提出し、立入検査を受けなければなりません。
検査の際には、消防職員が届出内容と建物の現状を照らし合わせ、相違点や変更点は無いか、建物が適切に維持管理されているか等といった点を立入検査マニュアルに基づきチェックしていきます。
検査を通して特に問題点が見つからなければ、消防法令適合通知書が交付されます。
③運営形態を決めて許可申請や民泊届出を行う
旅館業法の簡易宿所の場合
旅館業法の簡易宿所とは、宿泊場所を多数人で共用する宿泊施設のことを指します。
簡易宿所として営業を行うには、旅館業法に基づく「簡易宿所営業の許可」の取得が必要となるため、まずは施設が所在する都道府県の保健所で許可申請を行いましょう。
申請の際には、原則として許可申請書と営業施設の図面、自治体が条例等で定める書類の提出と手数料の支払いを求められ、申請後には旅館業法施行令や条例で定められている「構造設備基準」に適合しているか実際に確認するため、保健所職員等による施設の立入検査が実施されます。
立入検査での確認が完了し、不備や問題点が見つからなければ、簡易宿所営業の許可を取得することができます。
民泊新法の場合
民泊新法に則り、年間180日までの日数制限内で民泊運営を実施する場合は、「住宅宿泊事業届出書」に必要事項を記入し、必要な添付書類と併せて住宅の所在地を管轄する都道府県知事等に届け出る必要があります。
届出を行う物件には、台所、浴室、便所、洗面設備の完備を含め、一定の「設備要件」をクリアしていることや、現に人が住んでいたり入居者の募集が行われている等といった「居住要件」を満たしていることが求められます。
また、物件の居室が5室を超え、家主が同居しない「家主不在型」の運営形態である場合は、住宅宿泊管理業者に民泊の運営代行などの住宅宿泊管理業務を委託することが義務付けられています。
特区民泊の場合
特区民泊とは、国が指定した地域において「国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例」の下で運営する民泊事業のことを指します。
営業日数の制限が無く、一年を通して宿泊客を受入可能なため、収益を伸ばしやすいというメリットがあります。
特区民泊を運営するためには、施設の所在する自治体から特区民泊の認定を受ける必要があります。
認定申請の手順は、まず保健所・消防署と事前相談を行い、近隣住民へ周知するための文書作成を実施し、認定申請書と添付書類を自治体の生活安全課に手数料を添えて提出します。
提出後に書類審査と立入検査の実施があり、問題点が見つからなければ認定書が送付され、特区民泊の運営が可能になります。
イベント民泊の場合
イベント民泊とは、年に数回程度開催されるイベントの際、宿泊施設として自宅を提供するといった運営形態を指します。
イベント民泊の規定は観光庁によって定められており、運営するためには開催地の自治体から要請が出された際、それに申し込む必要があります。
申込書は、募集に合わせて各自治体のホームページや広報誌等で配布されるので、必要事項を記載して自治体に提出します。
数日間の営業で反復継続性が無いため、旅館業には該当せず、営業にあたって旅館業法や民泊新法などの法令による許可は必要ありません。
申込書の提出後、物件がイベント民泊の運営に適していると判断されれば、自治体から「要請書」が送付されます。
④民泊制度運営システムの登録
民泊制度運営システムとは、住宅宿泊事業法に基づく届出や申請、報告などの手続きを電子的に行うことができる仕組みのことです。
届出・申請等をオンラインで処理することが可能になるため、窓口に出向く時間や手間を省略できるのに加え、入力チェック機能によって不備を事前に防ぐことができたり、過去の手続き等を含め、自身の事業に関する情報管理が容易にできるといったメリットもあります。
民泊制度運営システムを利用するためには、利用者登録が必要です。観光庁の「民泊制度ポータルサイト」内のページ「民泊制度運営システムの利用方法」から利用者登録ページにアクセスできるので、必要事項を入力し登録手続を進めていきましょう。
⑤リノベーション
民泊の営業開始にあたって、物件のリノベーションは必須ではありません。
しかし、物件の築年数が古く設備の老朽化が予想できる場合等、ゲストを迎え入れるにあたり改善すべき点が存在するのであればリノベーションを実施し、機能性や利便性を向上させておくことをおすすめします。
リノベーションによって新たな魅力や付加価値を創造することは、ユーザーの満足度や評価を高め、宿泊客の獲得数増加や収益アップに繋げていくために大変有益な方法となります。
自分の希望を反映したオリジナリティ溢れる空間創りができる反面、完成までに多くの時間や費用を要するため、予算は多めに準備し、施工期間は長めにしてプランを立てておきましょう。
⑥ゲストの受け入れ準備
室内備品やアメニティなどの準備
民泊運営において、室内備品やアメニティの準備は非常に重要で、種類や内容によってゲストが喜んだり、逆に評価が下がったりする原因になるため、ターゲットにするゲストのタイプによって適したものを選定する必要があります。
例えば、家族で長期滞在をするゲストの場合、鍋、フライパン、電気ケトルなど自炊のための充実した調理器具やカトラリーがあると喜ばれます。
女性のゲストを中心に受け入れる場合、化粧水やメイク落としなどスキンケア製品一式を洗面所に揃えておくのがおすすめです。
冷蔵庫、電子レンジ、Wi-Fi環境やティッシュ、トイレットペーパーは、無いと低評価になる可能性が高いため、必ず用意しておきましょう。
電気・ガス・水道・ネット環境の契約
民泊の運営に欠かせないのが、電気・ガス・水道・ネット環境といったライフラインです。
オープン予定日から逆算し、これらの契約を全て完了させ、実際に利用できる状態にしておくことが必要です。
水道は各自治体の水道局が管理しているため契約先の選択や変更はできませんが、電気とガス、ネット環境は契約先の業者を自由に選択できるので、施設の規模や想定される使用量を考慮に入れたうえで、出来る限り費用がお得になるプランを選択すれば、固定費を抑えることが可能になります。
最近では、電気とガス、ネットの契約を一社でまとめると割引が適用されるプランも出ているので、そういったサービスを上手く活用することをおすすめします。
チェックイン方法の確立
民泊の営業前に必ず行うべきなのが、ゲストを受け入れる際のチェックイン方法の確立です。
チェックイン方法には有人と無人の二種類があり、有人の場合は対面で本人確認と鍵の受け渡しを行う手間がかかりますが、無人の場合、事前にゲストがオンラインで宿泊者名簿等の提出を済ませてくるため、セルフチェックインシステムを導入すれば人を常駐させなくても案内や手続が完了するといったメリットがあります。
無人のチェックイン方法を採用した場合の「鍵の場所や開錠方法」については、キーボックスから鍵を取り出す方式や、ドアに設置された電子ロックに番号を入力して開錠する方式、スマートフォンと連動して開錠する方式等から選択可能です。
ホームページの作成
民泊の運営にあたりホームページを作成することは、より多くの人に施設の魅力を知って頂き、ゲストとして訪れてもらうためには欠かせない営業手段となります。
現在、殆どの施設がホームページを持っているため、ホームページの作成によりユーザーからの信頼を獲得しやすくなるといった利点があります。
作成の際のポイントとしては、部屋の中の様子や建物の外観、周辺の雰囲気をより詳しく伝えるために、写真や動画などの視覚的なコンテンツを充実させるよう心掛けましょう。
また、民泊を始めた理由やサービスのコンセプト等をストーリー仕立てで解説した記事を作成する等、施設のファンを増やすための工夫を施しておくことも重要です。
⑦清掃業者など各種業者選定
客室の清掃やリネンの交換、ゴミの処分は、民泊運営において不可欠な業務となります。
自分だけでは手が回らない場合、それらの専門業者に業務を代行してもらう必要があります。
業者の選定の際の注意点として、「レスポンスの早さ」と「費用が営業利益を圧迫しないこと」「サービスの質と専門性の高さ」の3点を確認しておきましょう。
すぐに連絡がつかない業者は、急な依頼やトラブルが発生した際に対応してもらうことが出来ず、ゲストを逃したりクレームの原因となるため避けるべきです。
また、事前に各サービスの相場を調べ、複数の業者から見積りを取り、サービス内容や質も含めて比較検討を行うと、失敗を避けることができます。
⑧予約サイトに掲載
宿泊施設の予約サイトに施設情報を掲載し、多くの人の目に触れる機会を作ることは、民泊の集客対策において非常に有効な方法です。
「Airbnb」や「Booking.com」など、知名度の高い予約サイトに掲載を依頼するのがポイントとなります。
また、一棟貸しの民泊の場合は「一棟貸し専門の予約サイト」に掲載を依頼すると、集客効果がより一層高まります。
特に、国内の一棟貸し施設を網羅した予約サイト「TABILMO」は、地域や施設の種類ごとに検索できるほか、施設の魅力や特徴を反映した「こだわりの条件」で探すこともでき、様々な経路からユーザーに施設情報を閲覧してもらいやすい環境になっているのでおすすめです。
【 TABILMO 】
一棟貸し専門の予約サイト「TABILMO」。
Googleなどで「地域名 コテージ(貸別荘)」と
検索した際に上位に表⽰される
SEOに強い宿泊予約サイトです。
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トラブル防止のための注意事項
①近所の方に挨拶
民泊として営業を開始するにあたり、施設の近所に住む方に挨拶を行い、事前に理解を頂くことは非常に重要なプロセスとなります。
民泊は、騒音やゴミ等のトラブルが発生しやすく、重大なクレームに発展することも多い事業です。
そのため、営業開始後にクレームを頂くことが無いよう、誠心誠意対応を行うことを書面や口頭で予め説明して不安材料を減らし、近隣住民の方に安心して頂く必要があります。
特区民泊など近隣住民への事前説明が義務付けられている場合は勿論のこと、そうでない場合でも必ず自発的に挨拶を行い、民泊事業を始めることを事前に説明してご理解を頂き、近隣住民の方との間に円滑な関係を築くよう心掛けましょう。
②お客様へのインフォメーションの作成
民泊の営業開始前に、宿泊者が守るべきハウスルールや室内設備の利用方法等を盛り込んだ「お客様インフォメーション」の作成を行うことは、今後の円滑な運営のために大変重要な工程です。
お客様インフォメーションの閲覧により、施設に関する疑問点をゲスト自身で解決できるため、本来フロントで実施していた案内業務を大幅に削減することが可能になります。
また、騒音などの禁止事項を明確にすることで、ゲストの誤解や自己判断によるトラブルを防止することもできます。
ゲストがいつでも簡単にお客様インフォメーションの内容を確認できるよう、タブレット型の専用端末やテレビ画面、モニター等の閲覧環境を用意しておきましょう。
まとめ
以上、【民泊の始め方】でした。
民泊を運営では、申請をしたり、ゲストの受け入れ態勢を整えたり、様々な準備をしなければいけません。
お客様に快適に過ごしてもらうためにも、収益を上げるためにも、しっかり計画を立てながら、丁寧に運営していきましょう。
是非、民泊の運営を始められる際は、本記事を参考にしてください。