全国には利用されていない空き家が400万戸近くあり、その中にはまだ人が住めるものから倒壊寸前のものまで様々な状態の物件があります。
これらの空き家を活用するビジネスは初期費用を抑えられ、毎月一定額の収入が見込めることがメリットです。立地によっては、補助金を活用することで高い収益を確保できる可能性もあります。
この記事では、空き家ビジネスをする際に補助金を活かす方法について詳しく解説します。
空き家活用に補助金は出る?
空き家活用に関する補助金は「購入」「リフォーム」「解体」の大きく三種類があります。二つ実施する自治体もあれば、全く行っていないところもあります。
ここでは、自治体が空き家の活用に補助金を出す理由や、その活用方法について紹介します。
なぜ補助金が用意されているのか?
総務省による2023年の調査によると、長期間、人が住んでいない空き家は日本国内には385万戸以上あり、その大半が戸建て住宅です。その中には、物件を相続した子どもが遠くに住んでいて人が住める状態なのに上手く活用できていなかったり、長年放置され倒壊や火災のリスクがあり地域に悪影響を与えていたりするものまであります。
人口減少に悩んでいる自治体は移住促進と併せて、前者の物件について、物件の所有者や購入希望者に「購入」「リフォーム」に関する補助金を出しています。後者の空き家については早期にリスクを取り除くために所有者に補助金を出して「解体」を促しています。
参照:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
自治体の補助金を活用するには
補助金を活用するためには、自治体が設定している補助金の支給条件をすべてクリアする必要があります。その自治体の税金が投入される事業で、移住などによる地域活性化を目的に行うため、それぞれ、「5年以上定住」できること(購入)、「子育て世帯」が対象(リフォーム)、「市内業者」に限定する(解体)などの条件があります。自治体ごとに、地域の特徴や課題に応じて細かく設定されているので、利用を検討している場合はまず条件を確認しましょう。
空き家ビジネスに補助金を活用できたということは、自治体の課題解決や地域活性化に貢献できたということでもあります。ホームページを見たり、担当者に問い合わせたりして条件を正しく理解し、積極的に活用しましょう。
参考:熊本市「空き家のリフォーム補助」
自治体ごとの補助金制度
ここでは、空き家活用に関する補助金について、補助金以外の空き家対策とセットで解説します。空き家ビジネスは補助金を受け取リ可能な、メリットの大きいビジネスですが、補助金を受け取るための注意点についても把握しておく必要があります。
空き家バンクと連動した補助金の特徴
「空き家バンク」とは、空き家を手放したい人と買いたい人のマッチングを応援する自治体の制度です。全国約7割の自治体が実施していて、インターネット上で各自治体が集めた空き家の情報を見ることができます。空き家バンクには、将来管理者が不明になって周辺に悪影響を及ぼすのを防ぐだけでなく、まだ住める空き家を有効活用して自治体内への移住者を増やす目的もあります。そのため、空き家バンクでの購入を条件に、購入費用や購入した物件のリフォーム費用を一部補助する自治体もあります。
全国の情報をまとめた「全国版空き家バンク」も存在し、こちらも多くの自治体が参加しています。地域にこだわらず、収益性のある物件を探すときに便利です。
参考:国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」
補助金申請時の注意点
補助金を申請する場合は、各自治体の条件を確認することが必須であることはお伝えしましたが、他にも注意すべき事項はあります。解体やリフォームであれば、工事前の申請が必要なケースが多いです。その場合、工事完了後に申請をしても補助金はおりません。税金を使って行われる事業なので、自治体も補助金が正しく使われているかをチェックする必要があります。
また、すべての条件をクリアしても申請時期によっては補助金が出ない場合があります。1年間に出せる補助金の総額は事前に決まっているので、受け付け開始後の申し込みが多くて支給する補助金額が確保した予算を超えた場合は、期間内に申請しようとしても補助金を受け取ることができません。
地方自治体の補助内容とその見つけ方
全国には400万戸近い空き家があること、様々な状態の空き家が存在することは既にお伝えしました。また自治体によっては、人口減少が進んで地域を維持できなくなるという別の大きな課題にも直面しており、子育て世帯の移住支援を積極的に進めています。
そのため、自治体ごとにその地域が抱えている課題に応じた補助金が存在しています。
自身が所有する空き家の活用を検討していたり、ビジネスを始める自治体が決まっていたりする場合は、「○○市 空き家」で検索して自治体のWEBサイトで補助金のメニューや内容、条件をチェックしましょう。独立行政法人「住宅金融支援機構」が提供している、都道府県ごとに市町村の情報を一覧で見られる「空き家関連情報サイト」の利用もおすすめです。
空き家を「購入」する場合に使える補助金とは?
実際に空き家ビジネスを始めようと思ったら、相続等で物件を所有していない限り、「購入」がスタートになります。
ここでは、空き家購入に関する自治体の取り組みや、価格相場、購入方法やその際の注意点についてご紹介します。
空き家購入の補助金・支援制度
人口減少に悩む自治体では、空き家バンクを通じて物件を購入する場合、補助金を受けられる仕組みがあります。若者や子育て世帯を増やすことが目的なので、「5年以上の居住が約束できること」など購入者が長期間定住することを条件にしている自治体がほとんどです。ビジネスのために空き家を購入する際は補助金の活用は難しいでしょう。
ただし、自治体ごとの「空き家バンク」や「全国版空き家バンク」は、ビジネス目的でも利用可能です。物件を登録している所有者との合意があれば購入ができるので、空き家を購入する際にはぜひ活用しましょう。
空き家購入の価格相場は?
空き家の価格は物件の状態、立地、延床面積によって大きく異なります。リフォームがほとんど必要なさそうで駅や商業エリアに近い物件もありますが、そういった物件の相場は地方でも1000万円以上します。自分で住む物件を買いたい層には需要がありますが、ビジネスには向いていません。戸建て賃貸として運用する場合、利回りを考える必要があります。
全国約2400戸の空き家再生を手掛けている「一般社団法人 全国古家再生推進協議会」が行った2021年の集計では、物件価格の平均は254万円で、リフォーム費用も加えた初期費用は約500万円でした。平均家賃は6万円で、利回りは14%台だったそうです。利回り14%を確保できれば、8年弱で初期費用を回収できることになります。これを一つの目安に自身の戦略を立てて、購入価格のラインを決めるとよいでしょう。
空き家購入の方法と注意点
空き家を探すのは基本的にはインターネット上で行います。空き家バンクもその一つです。民間の住宅情報サイトにも、毎日のように新しい物件が登録されます。気になる物件があれば、必ず現地で確認をしましょう。写真では分からない状態や周辺環境をチェックします。状態等に問題がなく、収益も確保できると判断できれば購入を検討します。
空き家は「中古」という性質上、何かしらの不具合は必ずあります。リフォーム前提で購入を検討しましょう。物件価格を抑えると、リフォーム費用は高くなるためバランスを考え総額で検討する必要があります。
安価な物件には建物の傾きなど構造に問題がある、ハザードマップの赤(特別警戒区域)に指定されている、などビジネスには不向きな条件を抱えているケースもあります。リフォーム費用が高額になったり、後々大きな損失をこうむったりする恐れがあります。さまざまなエリアで複数の物件を見て、物件を見る目や相場観を養いましょう。
空き家を「リノベーション」して活用するには?
相続や購入などで所有している物件を収益化する場合はリノベーションやリフォームが欠かせません。自治体によっては賃貸用の戸建て住宅の改修にも補助金を出すところもあり、購入の補助金に比べて条件が緩いのが特徴です。実際の事例と併せてご説明します。
リノベーション費用の目安
物件をリノベーションする際には入居者を意識しましょう。中古の戸建て賃貸は、子育て世帯にも人気があります。マンションに比べて延床面積が広く初期費用も抑えられるため、将来の物件購入に向けて貯蓄をしたい、家族それぞれの部屋が欲しい、というニーズに応えられるためです。
中古住宅の場合、和室を板張りにする洋室化(1室約10万円)などの大工工事、トイレ交換(約20万円)、ユニットバス設置(約60万円)、クロス張替え(広さによっては約100万円)など、対象は多岐に渡ります。すべてを新築同様にしようとすると費用が高額になって収益性は落ちます。子育て世帯の女性を意識してトイレやお風呂は交換するが、使用に問題のない窓のサッシは交換しないなどメリハリが必要です。
リノベーションに使える補助金
物件を購入する際には補助金を期待しない方がいいことは既に解説した通りですが、リノベーションにはビジネス対象の物件でも補助金が出るケースがあります。福岡県久留米市の場合、50万円を上限に費用の50%を補助金として受け取れます。
戸建て賃貸ビジネスの場合、収益性を上げるには購入・リノベーション費用を抑えるか、家賃を高めに設定するしかありません。家賃が高いと空室のリスクも高まるので、初期費用を抑えるのが現実的です。50万円の補助金を受け取ることができれば、家賃5万円の物件の場合では10か月分の家賃を得ているのと同じ効果があります。
戸建て賃貸をビジネスとして考えるのであれば、補助金の有無で物件を判断するのも一つの戦略です。
リノベして収益化した事例紹介
九州のある地方では、2DKのコンパクトな平屋の戸建て空き家を購入・リノベーションし、18%を超える利回りで運用している活用事例があります。風呂が温泉という特徴もあったその物件は、周辺相場を超える家賃で募集を開始ししましたがすぐに入居が決まりました。
この成功事例のポイントは、田舎のコンパクトな物件で購入とリフォーム両方の費用を抑えられたこと、それに加えて差別化を図って高い家賃設定ができたことです。家賃相場が低い田舎でも、周辺にある工場の従業員の寮や、シェアハウス、店舗利用を認めることで通常よりも高い家賃収入を実現した例もあります。
東京など地価が高い大都市では、購入費用が高くなる反面、高い家賃設定もできますが、空室リスクが大きくなるデメリットがあります。補助金も活用できる地方でのビジネスは、大いに検討する価値があるといえます。
参考:久留米市「久留米市空き家活用リフォーム助成事業について」
解体にも補助金は出る?
既に空き家を保有している場合、自分でリフォームして戸建て賃貸として運用するか、あるいは希望者に売却するなどして収益を得たいところですが、物件の状態が悪いとリフォーム費用が高額になり、買い手も現れにくいです。状態次第では、解体に補助金が出る場合があるので、早めの対応を検討しましょう。
解体補助が出る条件と対象になる空き家
人が住めない状態の空き家を所有している場合、高額のリフォームをしてビジネス化するのは現実的ではなく、解体して土地としての活用を検討するしかありません。
しかし、解体にも費用がかかり、更地になると固定資産税も上がることから、かつては放置されて危険な状態となった空き家の存在が全国で大きな問題になりました。放置された空き家は劣化が早く倒壊や火災、あるいは犯罪者に悪用されるリスクが高まります。
こうした状況を防ぐため、リスクの高い危険な空き家の解体に補助金を出す自治体もあります。補助金額は50万円を上限に解体費用の2分の1としているケースが多いです。更地にすると、立地条件が良ければ、新築希望者に売却したり、駐車場に転用したりすることも可能です。
参考:木更津市「空家除却工事補助制度」
結局どうするのがベスト?空き家活用の選択肢
これまで、これから空き家を購入してビジネスを始めようと考えている人、既に所有している人に向けて、空き家活用や補助金について解説してきました。
すべての空き家を活用できるわけではなく、中には解体するしかない空き家も存在します。ここでは、空き家を活用、あるいは解体するうえで、どのような基準で判断すればよいかをお伝えします。
「購入・活用・解体」その判断のポイント
これから空き家を購入して戸建て賃貸のビジネスを考えている場合は、立地、状態、延床面積から物件を判断し、購入・リフォーム費用、想定家賃から収益性を検討します。収益が確保できる物件と見込める場合は、購入を検討しても良いでしょう。リフォームには補助金を使える場合があります。
相続等で空き家をすでに保有している場合は、まず、空き家の状態をチェックしましょう。多少の修繕箇所があってもリフォームすれば収益物件になる可能性があります。立地や面積等の条件がそろっていれば、高い収益性が期待できます。一方で、人が住めない状態であれば、解体を検討しましょう。
空き家の倒壊や火災が発生した場合は、損害賠償請求を受ける可能性があります。危険な家屋の解体には補助金が出るので利用して、更地としての土地活用を検討しましょう。
宿泊ビジネスとして活用するなら
空き家を購入、相続等で保有している場合、賃貸以外にも民泊など宿泊ビジネスとしての活用もできます。観光地周辺にあったり、伝統できな古民家だったりと差別化できる要素があれば、外国人観光客などを顧客に高い収益が期待できます。
集客にも成功して上手く稼働させられれば、賃貸活用の2倍以上の収入も見込めます。しかし、民泊の場合、「180日ルール」で年間の宿泊日数に上限が課されています。また、宿泊のたびに清掃が発生するのでスタッフを確保するか、自身で行う必要があります。競合の出現などで収入が不安定化しやすいというデメリットもあり、継続的に収益を確保するためには、戸建て賃貸以上のノウハウが必要な分野です。
活用が進んだら「集客」が重要に
空き家活用は継続できて初めてビジネスとして成立していると言えます。20%の高利回りを実現できても回収に5年かかります。ビジネスとして拡大するためには、回収後も安定して収入を得られる仕組みづくりが必要です。
特に民泊やシェアハウスなどは、集客力がビジネス継続の大きなカギになってきます。
空き家をビジネス化した後に必要な集客導線 OTA
民泊やシェアハウスなどは高い収益が期待できる一方で、ビジネスとして継続させるためには、戸建て賃貸以上のノウハウが必要であることはお伝えしました。その中で、最も重要なのは「集客」です。戸建て賃貸の場合は一度入居が決まると年単位での安定収入が見込めますが、民泊は集客をし続けなければなりません。
そこで、OTA(Online Travel Agency)と呼ばれる予約サイトへの登録が集客への近道となります。
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