空き家問題をビジネスチャンスに変える!原因から対策、収益化事例まで解説

  • 2025年8月15日
  • 2025年8月15日
  • 民泊

近年、見聞きする機会が多くなった「空き家」という言葉。現在、空き家の軒数が年々増加し、全国的な問題となっています。同時に、「空き家」にまつわる悩みや疑問を抱える方々も増えています。

例えば、以下のようにその内容は多岐に渡ります。

  • 空き家の売買・賃貸はどうしたらいいの?
  • 相続する場合は?
  • 改修や解体の費用は?
  • 手続きは?
  • 税金は?

そのよう悩みや疑問を解決すべく、現状と課題を整理しつつ、具体的な対処法や活用方法、新たなビジネスチャンスにつながる収益化のアイデアなど、「空き家」の可能性をご紹介します。

空き家問題の現状と原因

現在、日本の空き家は増加の一途で、2023年には過去最多を記録。現在は、総住宅数のおよそ7戸に1戸が空き家になっています。

この背景には、少子高齢化や地方の過疎化などが大きく影響しています。加えて、管理の難しさや経済的な事情、思い出ある家を手放せないという心理的な要因などが複雑に絡み合っています。管理不全の空き家は、景観の悪化を招き、防犯上のリスクを高めるなど、大きな課題となっています。

現在の空き家の種類

「空き家」には大きく分けて4種類あります。

  1. 賃貸用の住宅(入居者募集中)
  2. 売却用の住宅(販売中)
  3. 二次的住宅(別荘など)
  4. 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家(①〜③以外)

とりわけ④賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家の増加によって、空き家問題が発生しています。

総務省統計などから見る空き家の実態

全国的に空き家がクローズアップされるようになったのは、2010年以降です。過疎化が進む地域に限らず、大都市圏周辺でも空き家が増えてきたことから社会問題化。

2015年には、国土交通省が「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家法」)を施行しました。これにより、地方自治体が地域の実情に応じて独自に「空家等対策計画」を策定し、空き家の管理や利活用、解体などを進めることが可能になりました。

空き家区分戸数(戸)割合(空き家全体比)
①賃貸用443.6万49.3%
②売却用32.6万3.6%
③二次的住宅38.4万4.3%
④①~③を除く空き家
(その他の住宅)
385.6万42.8%

表1 空き家区分ごとの戸籍数・割合 
(出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」

一方で、総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると2023年の日本の空き家総数は、900万戸超え(空き家率13.8%)と過去最高を記録。1993年からの30年間で約2倍に増加し、直近5年間では51万戸以上も増加しています。表に記載した通り、前述の④賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家には385万6千戸が該当します。

参考:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果

なぜ、空き家問題は起きるのか?

なぜ、ここまで空き家が増えたのでしょうか。

元々、日本では1963年までは総世帯数が総住宅数を上回っていました。ところが、1968年以降は逆転。住宅の数が世帯数を上回った状態で、2013年には世帯あたりの住宅数は1.16戸となり、現在まで同水準で推移しています。

要するに需要と供給のバランスが崩れ、買い手・借り手がいない供給過多になっているというのが、空き家問題の根幹にあると考えられます。

高齢化・人口減少・相続放置・管理コストなど、空き家問題の主な原因

供給過多の状態を引き起こしているのは、主に人口減少と高齢化です。

地方から都市部への若者の流出などにより、地域内の人口が減少。空き家の所有者が「売りたい・貸したい」と考えていても、買い手や借り手が見つからないため、結果的に管理できず放置されてしまうのです。

また、高齢者の老人ホームへの入所や、子どもが住む都市部への転居などによって、それまで住んでいた住宅が空き家になるケースもあります。空き家を所有することになる経緯の中で最も多いのが、前所有者が亡くなったことによる相続で物件を引き継いだケースです。

いずれの場合も買い手・借り手が見つからなければ、所有者が管理しなければいけません。とはいえ、老人ホームなどに入所していたり、空き家の所在地が所有者の居住地から遠く離れていると、誰かにお願いするにも、現地に通うにも、そのためのコストが維持管理費として発生してしまいます。結果として、空き家は放置されてしまうのです。

参照:国土交通省「空き家対策特設サイト

空き家問題が引き起こす課題とは?

空き家課題

放置された空き家の増加によって引き起こされる課題は、所有者はもちろんのこと、地域住民や自治体に対しても発生し、その内容も多種多様です。

一体、どのような課題が発生するのか。空き家問題によって引き起こされる、その課題の一部をご紹介します。

景観・治安の悪化

適切に管理されていない空き家には、草木が生い茂り、ゴミの散乱や害虫の発生などにつながります。特に最近では、ネズミやハクビシンなどの動物類が巣にしてしまうケースも多く見られます。これは周辺地域の景観を損ね、地域のイメージ低下を招く要因にもなってしまいます。

また、管理されていないために不審者や犯罪者の活動拠点にもなりやすく、不法侵入や放火などの犯罪行為の温床になったりする危険性もあり、地域内の治安の悪化につながることも十分に想定されます。

放置による老朽化・倒壊リスク

誰も利用していない住宅は一気に傷んでしまいます。特に庭木の手入れなどもしていない状態だと、建物に植物が絡まったり、枝が屋根を覆ってしまったりすることで、老朽化はさらに進みます。

老朽化し劣化した住宅は、屋根や外壁などの建材が剥がれ落ちたり、雨漏りが発生したりするなど、台風や地震などによる倒壊の危険性もあり、通行人や近隣家屋への損害を与えてしまう可能性も大いにあります。

税金・固定資産コスト負担

これらのリスクを回避するためには、何よりも空き家の適正な管理が必要となります。しかし、実際に空き家を所有して管理するとなると、その労力はもちろんのこと、当然ながら一定の費用もかかってきます。

例えば、維持管理や防犯対策、固定資産税の支払いなど、継続的なコストを抱えることになります。併せて、月に1回程度の見回りや年間に数回程度の草刈りで現地に行ったり、建物の修繕を行うなど、その他の費用も発生します。

さまざまな負担が発生する中で、解体をしようとしても、100万円以上の解体費用がかかってしまうのが実情です。

家族間の相続トラブル

所有者である親が亡くなったことで、予期せず空き家となった実家を相続する場合には、親族間のトラブルに発展するケースもあります。

例えば、空き家を活用するのか解体するのか、活用するにしてもそのままの形で活用するのか改修するのかなどです。経済的にも労力的にも精神的にも負担が生じるため、お互いが譲ることができずに親族間での争いになってしまう事例が多く見受けられます。

空き家問題への活用対策や今後の方向性

空き家問題が社会課題化していく中で、国土交通省は2023(令和5)年に空家法を改正。空き家の除却(解体)・活用・適切な管理を推進するための措置が強化されることになりました。

これに合わせて、「特定空家」指定のための指針策定を行う都道府県や、空き家対策の窓口を設置する市区町村も増えてきています。空き家を活用するには、国や自治体などの支援制度等をしっかりと把握しておくことが重要です。

行政の支援(補助金、税制優遇など)

国や自治体には、空き家所有者向けの支援制度があります。

例えば、住宅が建つ土地は固定資産税が軽減されます。しかし、管理が不適切な「特定空家」に指定され、自治体から改善の勧告を受けると、この優遇は受けられなくなるため注意が必要です。

また、多くの自治体では改修費の補助金制度も設けています。賃貸用にリフォームする際に費用の3分の2が助成されるなど、様々な支援があります。制度内容は自治体ごとに異なるため、一度お住まいの地域の情報を確認してみましょう。

空き家バンクや民間マッチングサービスの活用

金銭的支援以外にも、空き家活用の取り組みは広がっています。

代表的なものが、自治体が運営する空き家バンクです。所有者が物件を登録し、ホームページで利用希望者とマッチングさせます。最近では、民間企業が全国の物件を扱う空き家バンクを運営する例も増えています。

さらに、法改正で「空家等管理活用支援法人」制度がスタート。自治体から指定されたNPO法人などが、所有者に代わって管理や活用を支援できるようになりました。これにより、移住相談と連携したマッチングサービスなども活発になっています。

民泊や貸別荘などへの転用という「ビジネス」としての対策

行政支援や民間サービスを活用し、空き家をビジネスで活用する事例も近年多く見受けられます。例えば、使われていない空き家を賃貸してサブリースしたり、空き家を購入して改修した後にシェアハウスやゲストハウス、一棟貸しの別荘などに転用したりされています。

特に宿泊施設が足りていない地域においては、ゲストハウスや民泊、貸別荘などへの転用はビジネスチャンスとしてだけではなく、その地域経済にも貢献でき、大きな可能性が感じられます。

空き家をビジネス化した事例や収益の実態

では、実際に空き家をビジネス化した事例にはどういったものがあるのでしょうか。また、それによってどの程度の収益が期待できるのか。いくつかの事例をご紹介します。

実際に空き家を民泊や貸別荘にした個人オーナーの成功事例

新潟県上越市では、移住者夫婦が2017(平成29)年から米農家を営みながら、うしだ屋という1日1組限定の古民家1棟貸しの農家民泊を運営しています。

鹿児島県沖永良部島では、Uターンしてきたオーナーが夫婦で空き家となっていた旧公民館をDIYで改修し、中長期滞在可能な宿泊施設として47HOSTELを運営しています。

また、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町では、複数の空き家を購入しWhyKumanoというゲストハウスや一棟貸し、飲食店などに改修して多角経営されているオーナーさんもいます。いずれも、単なる宿泊施設ではなく、空き家を改修したところも含めて、ストーリーを上手に伝えながら、地域の魅力を体験してもらうことを実践されています。

どれくらい稼げる?空き家ビジネスの収益実態

では、一体どのくらい稼げるのでしょうか?

例えば一棟貸しで民泊をする場合、年間最大稼働日数(180日)に対して1棟あたりの宿泊金額を素泊まり33,000円/泊とすると、稼働率45%で約267万円の売り上げになります。そこから、人件費や水道光熱費等の固定費等を差し引いていくと大まかな収益が見えてきます。この考え方はサブリースやゲストハウス、貸別荘などでも同様です。

ベースとなる収益目標を設定した上で、実現可能な稼働率をどこまで引き上げられるかによって、実際の収益は変わってきます。少なくとも、前述の3例はいずれも宿泊施設としての目標収益を達成できているそうです。加えて、宿泊時の観光案内や体験プランなどを作っていくと、さらなる収入の安定化ができるとともに、体験の満足度によってはリピーターの創出にもつなげることが可能です。

空き家ビジネスの初期費用はいくら?

初期費用については、ビジネス形態や空き家物件の状態などによって当然変わってきます。具体的には、物件取得費(または賃借料)、改修費、設備・家具購入費、許認可申請・登記費用、火災保険や施設賠償保険などの保証・保険料、集客につながる広告費が主にかかってきます。

地方の空き家で物件の状態が悪く、改修もご自身でDIYを行う場合であれば、物件取得費や改修費が安く抑えられます。また前述の3事例で見ると、最初の1軒の初期費用で400〜1700万円となっています。初期費用にどこまでかけるかは、手持ちの資産はもちろんですが、運営開始から何年で回収できるかを想定した上で決めていくことが重要です。

空き家ビジネスを始めたい方へ

空き家ビジネスを始めるためには、さまざまな法律や制度を理解しつつ、それらを上手に活用しながら、開業後に持続的な運営を行っていけるかどうかを冷静に判断していくことが重要です。

ターゲットや業態などのコンセプトを決めること、コンセプトにあった改修計画、資金計画や許認可申請など、やるべきことは盛りだくさんですが、まずは必ずやるべきことをご紹介します。

初めに検討すべき3つのこと(立地/用途地域/建物状態)

まず最初にやらなければならないのは、どんな物件を活用するかを決めることです。特に重視する点は、大きく3つです。

1つ目は立地。空き家がどういった場所に建っているのか、道路との接続状況はどうなのか、隣接する建物などはどういった建物なのか、宿泊する人が不便を感じずに楽しめる場所なのかなど、法律目線と顧客目線の両方でしっかりと確認しなければいけません。

次に、その空き家が建っている場所が法律上どのような用途地域なのか、ということです。例えば、都市計画法上、どういった地域に指定されているのか。その指定の内容によっては、そもそも宿泊施設をつくることができない可能性もあります。用途地域については、市区町村などの自治体の窓口に相談すれば用途地域図を見せてくれるところもありますので、確認してみてください。

そして3つ目に建物の状態です。どの程度の改修が必要なのかを判断していきます。

民泊・貸別荘に転用する場合の注意点と手続き

検討事項がクリアになったら、どのような業態にしていくのかを明確化しましょう。

例えば、民泊なのか貸別荘とするのかによっても、許認可や手続きが異なります。民泊は住宅宿泊事業と言い、住宅宿泊事業法に基づいた申請手続きが必要となります。貸別荘の場合は簡易宿泊所営業となり、旅館業法に基づいた申請手続きが必要です。

大きな違いとしては、民泊だと提供日数の上限が180日までと定められていますが、簡易宿泊所営業としての貸別荘であれば提供日数の上限はありません。また、民泊は営業許可が届出制なのに対して貸別荘は保健所の許可制となっています。

このように目指す業態に応じた進め方を理解することがスムーズな転用につながります。

空き家バンクや民間マッチングサービスの活用

物件を探すにあたっては空き家バンクや民間マッチングサービスを活用することをオススメします。前述の法律的な部分についても、市区町村や民間事業者など、空き家バンクやマッチングサービスを運営している担当窓口であれば、わからないことや疑問点など、色々と相談に乗ってくれるはずです。

また、所有者さんとのマッチングはもちろん、近隣住民の方々へのご挨拶などもつないでくれるので、スムーズに話を進めることが可能です。実際に開業した後も、事前に所有者さんも含めて地域内でのつながりを持っておくと、施設運営に対しての理解度が高いのでさまざまな部分でご協力いただけることが多く安心です。

OTA(宿泊予約サイト)への掲載が収益化の第一歩

物件取得や改修が順調に進んで無事にオープンできたとしても、お客様に利用していただけないと何の意味もありません。事例紹介の収益の項目でも書きましたが、目標とする稼働率を達成できなければ、どんなにキレイな施設ができても意味がありません。

しっかりと収益をあげていくためには、宿泊施設の紹介とともに、きちんと集客できる仕組みが必要です。近年ではSNS等による直接的な集客などもありますが、より多くの人たちの目に止まるためにはOTA(Online Travel Agency/宿泊予約サイト)への掲載が必要不可欠でしょう。

図1 予約経路の割合

一般社団法人日本旅館協会の「令和6年度 営業状況等統計調査」によると、図に示した通り、OTA経由での宿泊客は全体の44.9%を占めていて、旅行会社経由・自社HP経由・直予約と比較しても最も高い数値となっています。特に、大きなホテルなどと比較して規模が小さくなる空き家を活用したビジネスにおいては、まずはOTAへの掲載による露出度増加と集客が安定的な収益化の第一歩と言えます。

空き家は”資産”に変えられる!小さくてもいいのでまずは行動を

いかがだったでしょうか? 

空き家は全国的に社会課題と捉えられていますが、だからこそ国や自治体、民間企業の支援・サポートも手厚く、個人でも参入しやすいビジネスと言えます。制度や法律を理解して、初期費用を抑えながらスモールスタートで始めれば、厄介者とされている空き家を貴重な”資産”に変えることができるはずです。

しかも、全国には385万以上もあり、今も増え続けているわけですから、きっとあなたの希望に合致した物件に出会えるはずです。さあ、まずは一歩を踏み出しましょう!

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