特区民泊のイロハ|初心者でも分かる開業への道のり

民泊を始めようと考えている方は、「特区民泊」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。
「通常の民泊と何が違うのか?」「旅館業法や民泊新法との関係は?」など、気になる点も多くあるでしょう。

そこでこの記事では、特区民泊の仕組みや他の民泊制度との違い、ビジネスとしての魅力などをわかりやすく解説します。

特区民泊とは

特区民泊の概要と目的

特区民泊とは、国が指定した「国家戦略特別区域」に限り、運営できる民泊のことです。その限定されたエリア内であれば、基本的には誰でも民泊を始められる、参入ハードルが低いのが特徴です

この制度は、国家戦略特区法に基づいて設けられたもので、地域経済の活性化や、観光産業の発展を支えるために整備されています。特に近年増加しているインバウンド需要に対応するものとして、注目を集めています。

 

【認定申請可能な特区一覧】

自治体名・東京都大田区
・千葉市
・新潟市
・福岡県北九州市
・大阪府
・大阪市
・大阪府八尾市
・大阪府寝屋川市

参考元:地方創生推進事務局

 

特区民泊の特徴は?旅館業法・民泊新法との違いを解説

民泊新法とは

民泊新法(住宅宿泊事業法)は、全国で住宅を宿泊施設として活用するための基準を定めた法律です。2018年に施行されたこの法律により、個人が空き家やマンションの一部を使って民泊を運営できるようになりました。
ただし民泊新法では、営業日数が年間180日までという制限があります。これは、地域住民の生活環境を守り、ホテル・旅館業界との共存を図るためです。
このため、特に観光シーズンに合わせて営業する場合や、自宅の一部を週末だけ貸し出すような形の運営に向いているといえます。

 

特区民泊と民泊新法の違い

特区民泊は、民泊新法とは異なり営業日数の制限がなく、1年365日営業することが可能です。そのため、営業日数の制限を気にせず、安定した収入が期待できる点が特区民泊の大きなメリットです。

ただし、特区民泊を始めるには、対象となる物件が国家戦略特別区域内にある必要があり、さらに自治体によって設けられている要件を満たさなければなりません。

 

旅館業法とは

旅館業法は、ホテルや旅館などの宿泊施設全般に適用され、宿泊施設の営業に必要な基準が細かく定められています。
旅館業法に基づく営業には保健所からの許可が必要で、施設の規模や設備に関する要件も厳しく規定されています。

たとえば、トイレや洗面所の数、避難経路の確保、清掃・消毒体制などの基準が明確に定められており、個人が運営するハードルは非常に高いといえるでしょう。

 

特区民泊と旅館業法の違い

特区民泊は、旅館業法と比べると大幅に規制が緩和されており、設備基準や手続きが簡略化されています。そのため、少ない初期投資で運営を始めやすく、個人や小規模事業者でも取り組みやすい点が特徴です

ただし、周辺の生活環境を守るために、近隣住民への周知や騒音対策、宿泊者の安全管理には注意を払う必要があります。

 

項目特区民泊旅館業法(簡易民泊)民泊新法
許認可認定認定届出
運動できる場所指定あり全国全国
営業日数制限制限なし制限なし年間180日
最低宿泊日数2泊3日以上1泊2日以上なし
最低床面積25㎡以上/1居室3.3㎡/人3.3㎡/人
近隣住民への説明必要不要必要
管理業者への委託の必要性不要不要不在時のみ必要
消防設備の基準必要必要必要(家主居住型は緩和措置あり)
外国人観光客への情報共有必要あればなお良しあればなお良し

参考元:内閣府地方創生推進事務局

 

特区民泊ビジネスは、こんな人におすすめ

営業日数を気にせずに民泊を運営したい人

特区民泊は、民泊新法のような営業日数の制限がないため、1年を通じて営業できるのが大きな魅力です。特に観光地や人の集まる都市部であれば、繁忙期だけでなくオフシーズンにも一定の需要が見込め、安定的に収益を上げることが可能です。

 

収益をしっかり確保したい人

特区民泊は年間を通じて営業できるため、稼働日数を増やして収益を上げやすいビジネスモデルです。特に外国人観光客が多い都市部では、1年を通じて需要が見込めるため、安定した売上が期待できます。

また、特区民泊では設備基準も旅館業法より緩和されているため、初期費用や運営コストも抑えやすく、収益率が高い点も魅力です。

特区民泊のメリット
・営業日数制限がなく、365日営業できる
・初期費用や運営コストを抑えられる
・申請が通りやすい
特区民泊のデメリット
・限られたエリアでしか運営できない
・最低宿泊日数が決まっている
・現地調査があり、認定まで時間がかかる

 

特区民泊の認定要件

特区民泊を運営するには、特定の認定基準を満たし、自治体からの許可を得る必要があります。また、地域住民や周辺環境に配慮した運営が求められます。

主な認定要件は、以下のとおりです。

 

国家戦略特別区域の範囲内であること

特区民泊は、国家戦略特別区域に指定された地域でのみ運営可能です。
この区域は、国が観光促進や経済活性化のために設けるもので、主に多くの人が集まる都市部や観光地が対象となっています。

 

一居室の床面積が25㎡以上であること

宿泊者が快適に過ごせるよう、原則として一居室の床面積は壁芯で25㎡以上が必要です。
床面積には、風呂、トイレ、台所、クローゼットを含みます。ベランダがある場合は、床面積には含みません。

 

宿泊者名簿の設置

特区民泊を開始するにあたっては、周辺住民への説明が必須となっています。
事前に説明会や案内文書の配布を通じて営業内容や運営方針を周知し、地域の理解を得ることでトラブルを未然に防ぐことが求められています。

 

周辺住民への周知

周辺住民からの苦情や問い合わせに迅速に対応し、トラブルが発生しないよう努めることが求められます。
夜間の騒音やごみの不適切な処理など、生活環境に関わる問題が発生しやすいため、すぐに対応できる体制を作っておくことも重要です。

 

地域住民からの苦情・問い合わせへの適切かつ迅速な処理

周辺住民からの苦情や問い合わせに迅速に対応し、トラブルが発生しないよう努めることが求められます。
夜間の騒音やごみの不適切な処理など、生活環境に関わる問題が発生しやすいため、すぐに対応できる体制を作っておくことも重要です。

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特区民泊の認定申請の一般的な流れを解説

特区民泊の営業を開始する際は、事前に自治体へ認定申請を行い、許可を得る必要があります。認定には一定の基準を満たすことが求められ、施設の安全性や近隣住民への影響を考慮した上で、審査が行われます

 

保健所・消防署との事前相談

施設の衛生面や安全性を確認するために、保健所や消防署への相談を行います。
特に消防署の確認は重要で、避難経路や防火設備の設置が適切かどうか事前に確認しておくことで、後々のトラブルを防げます

なお、消防設備の基準は自治体により異なり、例えば大阪市では旅館・ホテルと同様の消防基準が求められます。

 

近隣への周知

営業開始前には、周辺の住民に対して営業内容や対応方針を説明する必要があります。住民説明会や事前に書面での案内を行い、近隣住民からの理解を得ることが望まれます。

 

認定申請・申請手数料の納付

申請には、施設の情報、運営体制、宿泊者管理の方法などを記載した書類が必要です。申請書類を提出する際に、申請手数料も併せて納付します。

 

書類審査・現地調査

自治体への認定申請後、申請書類の審査が行われ、必要に応じて現地調査も実施されます。現地調査では、施設の安全性や周辺環境への配慮が適切に行われているかを確認します。

これらをクリアすると営業許可が下り、特区民泊としての営業が可能になります。

 

まとめ

特区民泊は、都市部や観光資源の多いエリアにおいて、宿泊施設不足の解消と地域経済の活性化を目指す制度です。民泊新法や旅館業法と比較して規制が緩和されており、少ない初期投資で運営しやすいのが特長です。

認定要件や運営ルールを守り、地域住民との良好な関係を築きながら運営を行うことで、安定した収益を上げることが可能です。インバウンド需要のさらなる拡大が見込まれる中、特区民泊の活用は大きなビジネスチャンスのひとつとなるでしょう。