【民泊向け】旅館業法許可を徹底ガイド!最近の改正点・要件・費用を網羅して解説

「民泊新法の180日制限を超えて、365日フル稼働させたい」

「事業として安定した収益を確保したい」

これから本格的に民泊事業を行う方にとって、旅館業法(簡易宿所営業)の許可取得は、民泊ビジネスを成功させるための強力な選択肢です。

この記事では、旅館業法許可のメリット・デメリットから、2023年12月に施行された最新の法改正ポイント、許可取得の要件、費用相場までを網羅的に解説します。これを読めば、安心かつ安定的に民泊事業を拡大するための道筋が見えてきますよ。

旅館業法とは?

旅館業法は、宿泊料を受けて人を宿泊させる「旅館業の健全な運営と、利用者の安全・衛生確保を定めた法律です。営業には保健所などの許可が必要で、一般的にホテル・旅館が対象ですが、民泊もこの法律の中の「簡易宿所営業」の許可を取ることで運営が可能です。

最大の特徴は、民泊新法(住宅宿泊事業法)のような「年間180日」という営業日数制限がない点です。消防や建築設備の基準は厳しくなりますが、許可を取得すれば365日通年での営業が可能となり、本格的な宿泊ビジネスとして収益を最大化しやすくなります。

➤参考:旅館業法(e-GOV法令検索)

なぜ今、民泊運営で旅館業法許可が注目されるのか?

インバウンド需要の急回復に伴い、民泊施設も急増しました。その中で今、「旅館業法許可」を取得して民泊を運営する動きが加速しています。理由は大きく分けて2つです。

①「民泊新法(届出)」の限界: 年間180日までしか営業できないため、書き入れ時を逃しやすい。上乗せ条例で規制が厳しくなってきている。
②「旅館業法(許可)」の強み: 365日営業可能で、事業としての収益性が圧倒的に高い。

かつては「許可取得のハードルが高い」と言われていましたが、法改正による規制緩和やノウハウの蓄積により、個人や小規模事業者でも許可を取得して「本格的な宿泊事業」へステップアップする事例が増えています。

民泊運営に関わる3つの法律を徹底比較

3法律

民泊を始めるには、主に3つの制度があります。

①旅館業法による簡易宿所営業、②民泊新法による住宅宿泊事業、③特定エリアでの特区民泊の3つです。

それぞれに要件や特徴があるため、ご自身の物件や事業計画に合わせて選ぶ必要があります。

3つの制度 比較一覧表

項目旅館業法(簡易宿所)民泊新法(住宅宿泊事業法)特区民泊
最大の特徴365日営業OK手軽だが180日制限あり地域限定で365日OK
手続き許可(基準が厳しい)届出(比較的かんたん)認定
営業日数制限なし年間180日まで制限なし
最低宿泊日数なし(1泊からOK)なしあり(2泊3日〜など)
エリア用途地域の制限あり原則どこでも可※指定エリアのみ

※マンション管理規約や自治体条例による制限を除く

各法律のポイント

  1. 旅館業法(簡易宿所営業):
    365日営業が可能で、収益性を最大化できます。ただし、消防法や建築基準法などの適合基準が高く、商業地域や住居地域の一部など、営業できるエリア(用途地域)に限られます。

  2. 民泊新法(住宅宿泊事業法):
    「届出」だけで始められるためハードルは低いですが、「年間180日以内」という厳しいキャップ(上限)があります。副業向けと言えます。

  3. 特区民泊:
    東京都大田区や大阪市など、特定の国家戦略特区でのみ可能です。「2泊3日以上」などの滞在要件がありますが、365日営業が可能です。

※特区民泊について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【重要】2023年12月施行!近年の旅館業法の改正ポイント

2023年(令和5年)12月13日から、改正旅館業法が施行されています。これから参入する方が知っておくべき変更点は以下の3つです。

  1. 迷惑客への「宿泊拒否」が可能に
    これまで曖昧だった宿泊拒否基準が明確化されました。カスタマーハラスメント(土下座強要や不当な値引き要求など)を繰り返す客に対し、法的に宿泊を断れるようになり、スタッフを守りやすくなりました。

  2. 感染症対策への協力要請
    感染症まん延時に限り、マスク着用や検温などの協力を宿泊者に「求める」ことができるようになりました。
    (※正当な理由なく協力を拒み、かつ感染リスクが高いと認められる場合のみ宿泊拒否が可能。単に拒否しただけでは宿泊拒否できません)

  3. 事業承継(M&A・相続)がスムーズに
    事業譲渡や相続の際、これまでは「新規取り直し」が必要でしたが、手続きだけで地位を承継できるようになりました。これにより、既存の許可済み物件を買収して始めるハードルが下がりました。

旅館業法許可で民泊を運営する5つのメリット

メリット

初期費用や手間をかけてでも「旅館業法許可」を取るメリットは非常に大きいです。

  1. 収益機会の最大化(365日営業)
    繁忙期(GW、年末年始、夏休み)も含め、すべての日程で予約を受け付けられます。180日制限がある民泊新法と比較して、売上の天井が単純計算で2倍になります。

  2. 社会的信用度の向上
    厳しい行政の審査をパスした「許可施設」となるため、ゲストへの安心感だけでなく、物件オーナーや近隣住民からの信頼も得やすくなります。

  3. OTA(予約サイト)での集客有利
    Airbnbやタビルモなどで、日数の制限なくカレンダーをオープンにできるため、検索順位(SEO)やレビュー蓄積の面で有利に働きます。

  4. 柔軟なサービス提供
    定員の考え方が柔軟で、大人数収容の部屋作りがしやすくなります。また、食事提供などの付加価値をつける事業展開(要別途許可)もしやすくなります。

  5. 融資・補助金の対象になりやすい
    「正式な事業」として認められるため、日本政策金融公庫などの創業融資や、観光庁の補助金の対象となるケースが多く、資金調達の幅が広がります。

 

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旅館業法許可のデメリットと注意

デメリット

メリットの反面、必ず押さえておくべきハードルがあります。

  • 初期投資が高額になりがち
    消防設備(自動火災報知設備など)やトイレ・手洗い場の増設などで、数百万円単位の工事費がかかる場合があります。

  • 申請期間が長い
    事前相談から許可までは数ヶ月〜半年以上かかることが一般的です。家賃発生時期との兼ね合いに注意が必要です。

  • 「用途地域」の壁
    第一種低層住居専用地域など、静かな住宅街では原則として営業できません。物件契約前に必ず役所で「この場所で旅館業ができるかといった確認が必要です。

こちらで用途地域について詳しく解説しています。
「民泊できない」を防ぐ用途地域ガイド

旅館業法許可に必要な4つの要件

4つの要件

許可取得には以下の4つの基準をすべて満たす必要があります。

① 施設の構造設備(33㎡ルールの緩和に注意!)

ここが最も誤解されやすいポイントです。

かつては「客室延床面積33㎡以上」という要件がありましたが、2018年の改正で緩和されています。

平成28年4月の規制緩和により、簡易宿所営業の許可要件である客室延床面積(33㎡以上)の基準を改正し、一度に宿泊させる宿泊者数が10 人未満の施設の場合には、宿泊者1人当たり面積3.3 ㎡に宿泊者数を乗じた面積以上で許可を受けられることとしました。(出典:民泊サービスと旅館業法に関するQ&A Q12

  • 現在は、収容定員が10名未満の小規模施設であれば、33㎡未満でも許可取得が可能です。(※1人あたり3.3㎡の面積確保などは必要)

  • トイレ・洗面の個数は定員に応じて規定されます。

  • 玄関帳場(フロント)は原則必要ですが、ICT機器(顔認証やビデオ通話)による本人確認ができれば設置不要とする自治体が増えています。

 自治体の「条例」で独自に33㎡以上を求めている地域や、トイレの数を厳しく規定している地域があります。必ず管轄の保健所で最新の「条例」を確認してください。

② 消防法

最もコストがかかる部分です。一般住宅用ではなく、宿泊施設用の防火設備が必要です。

  • 自動火災報知設備(特定小規模施設用など)

  • 誘導灯

  • 防炎物品(カーテン等)の使用

③ 建築基準法

建物が「ホテル・旅館」としての安全基準を満たしているか確認されます。

200㎡を超える物件を転用する場合は「用途変更の確認申請」という高難度な手続きが必要です(※2019年の改正で100㎡→200㎡へ緩和済み)。

④ 人的要件

申請者が過去に旅館業法の取り消し処分を受けていないか、暴力団関係者でないか、などが問われます。

 

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7. 【5ステップ】申請から営業開始までのロードマップ

ポイントを示す

  1. 事前相談(物件契約前がベストです)
    保健所・消防署・建築審査課へ図面を持って相談。申請予定の物件で許可取れるかどうか確認します。

  2. 工事・消防設備の設置
    指摘事項に基づきリフォームを行います。

  3. 許可申請
    保健所へ書類を提出し、申請手数料(約2〜3万円)を納めます。

  4. 立入り検査
    保健所や消防署の担当者が現地に来て、図面通りかチェックします。

  5. 許可証交付・営業開始
    問題なければ数週間で許可証が発行されます。

8. 費用の目安と内訳

費用感

物件の状態によりますが、概算は以下の通りです。

  • 申請手数料: 2〜3万円(自治体による)

  • 消防・建築工事費: 50万〜300万円以上

    ※元が住宅か店舗か、広さはどうかで大きく変動します。「特定小規模施設用自動火災報知設備」で済む場合は安く抑えられます。

  • 行政書士・建築士報酬: 30万〜80万円前後
    手続きの複雑さを考えると、プロに依頼するのが確実です。

9. 要注意!無許可営業のリスク

注意

許可を取らずに民泊を行う違法民泊(ヤミ民泊)の罰則は非常に重くなっています。

  • 罰則: 6ヶ月以下の懲役 または 100万円以下の罰金

  • 社会的制裁: 逮捕事例の実名報道、OTA(予約サイト)のアカウント永久停止

「バレなければ大丈夫」は通用しません。近隣通報ですぐに発覚します。長期的に稼ぐためにも、必ず正規の手続きを踏みましょう。

まとめ

旅館業法許可の取得は、手続きや費用といった「初期ハードル」は高いですが、それを乗り越えれば**「365日収益を生み出す資産」**を手に入れることができます。

特に2025年以降、観光需要がさらに高まる中で、制限のない運営ができるメリットは計り知れません。まずは、気になる物件が「旅館業可能なエリア(用途地域)」にあるか調べることから始めてみましょう。

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