民泊のゴミ処理もう迷わない!家庭ゴミはNG?事業系廃棄物の正しい捨て方と運用法

  • 2025年12月19日
  • 2025年12月19日
  • 民泊

民泊運営で、オーナー様が必ず直面するのが「ゴミ処理」の問題です。

「普通の家庭ゴミとして捨ててはいけないの?」「業者はどうやって探せばいい?」「近隣トラブルが怖い」

このような悩みを持つ方は少なくありません。実は、民泊から出るゴミは法律上、一般家庭のゴミとは明確に区別されます。
ここを間違えると、近隣トラブルだけでなく、法律違反として罰則の対象になるリスクすらあります。

しかし「どこに出すか」「誰が回収するか」「どう運用するか」という仕組みさえ作ってしまえば、ゴミ処理スムーズに行うことができます。

本記事では、民泊のゴミ処理の基本ルールから、許可業者の選び方、ゲストへの案内方法、そしてコスト管理まで、現場ですぐに使えるノウハウを網羅しました。これを読めば、今日から迷いなくゴミ処理ができるようになります。

結論:民泊のゴミは「事業系一般廃棄物」。家庭用集積所はNG

ゴミ

まず、最も重要な大原則をお伝えします。民泊(住宅宿泊事業や旅館業)で発生したゴミは、たとえ一般の住宅を利用していたとしても事業活動から出たゴミとして扱われるため、町内会の集積所や住民用ステーションに出すのはNGです。

なぜ家庭ゴミとして捨ててはいけないのか?

日本では廃棄物の処理について、産業廃棄物処理法に基づき、廃棄物は「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に区分されます。事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、法律で定められた一定のものが産業廃棄物として定義されています。

  • 産業廃棄物:事業活動で生じた廃棄物のうち、法律で定められた20種類。
  • 一般廃棄物:産業廃棄物以外のゴミ。実務上では、家庭ゴミの「家庭系一般廃棄物」と会社や事業所で出たゴミの「事業系一般廃棄物」に分けられる。

「量も少ないし、普通の生活ゴミと同じでは?」と思われるかもしれませんが、法律の観点では、民泊は営利を目的とした「事業活動」です。事業活動に伴って出るゴミは事業系一般廃棄物に分類されるため、ホストが事業者として適正に処理する必要があります。

 ここに注意!法的リスクと近隣トラブル

指定外の場所にゴミを捨てる行為は不法投棄とみなされ、廃棄物処理法違反で「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」が科される可能性があります。また、住民専用の集積所に民泊ゴミが混ざっていると、回収されずに取り残され、悪臭やカラス被害の原因となります。これが近隣クレームの最大の火種となり、最悪の場合、事業撤退に追い込まれるケースもあります。

「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の違い

少し専門的になりますが、業者選びで失敗しないために知っておくべき区分があります。

  • 産業廃棄物:事業活動に伴うプラスチック類(アメニティ容器など)、金属くず、廃油、家電、家具など。法律で定められた20種類。
  • 事業系一般廃棄物:産業廃棄物以外で、事業活動に伴うゴミ。生ゴミ、紙くず、お菓子の袋、ティッシュなど(民泊ゴミの大部分はこれ)。

多くの自治体で、この2つは処理ルートが異なります。契約する業者がどちらの許可を持っているか(あるいは両方対応できるか)を確認する必要があります。

ルール違反のリスク:罰則だけでなく「近隣トラブル」が致命傷

事業系ごみを家庭の集積所に出す行為は、自治体によっては過料等の対象として明記されていることがあります。

そして現場で怖いのは、近隣からの苦情です。大阪市の会議資料でも、民泊に関する苦情の一つとして「ごみの不適切な処理(近隣住民の排出場所を利用)」が挙げられています。

民泊ゴミを正しく捨てる3つの方法

3つ

では、具体的にどう処理すればよいのでしょうか。選択肢は大きく分けて3つあります。ご自身の運営スタイルや規模に合わせて選びましょう。

方法メリットデメリットこんな人におすすめ
① 許可業者へ委託
(推奨)
法的に安心
手間がかからない
定期回収で清潔
委託費用がかかる運営を安定させたい方
遠隔運営の方
② 清掃/管理会社に一括委託窓口が一つで楽
現場オペが回しやすい
割高になる場合がある
業者の信頼性確認が必要
手間を極限まで減らしたい方
③ 自治体施設へ自己搬入コストが安い運搬の手間と時間
車両の確保が必要
平日限定の場合が多い
近隣在住で時間がある方
超小規模運営

① 許可業者へ委託する【推奨】

最も一般的で安定する方法です。自治体から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を得た業者と契約し、物件まで回収に来てもらいます。コストはかかりますが、近隣トラブルのリスクを最小限に抑えられます。

業者選定で見るべきポイント(チェックリスト)

  • 物件所在地の自治体で有効な許可か(許可番号・有効期限)
  • 料金単位(袋数/容積/重量)と、最低料金の有無
  • 回収頻度の変更(繁忙期増便)と、スポット回収の可否
  • 分別不備の扱い(再訪費・追加費の条件)
  • 回収証跡(写真、数量、回収後報告)の運用ができるか など

② 清掃・管理会社に一括委託する

清掃代行業者や運営代行会社が、ゴミ回収サービス(または提携業者の手配)を含んでいる場合があります。「清掃終了時にゴミを持ち帰ってもらう」形になるため、物件にゴミが残らず、衛生的にはベストです。ただし、その代行業者が適法なルート(許可業者への再委託など)を使っているか必ず確認しましょう。

③ 自治体施設へ自己搬入する(または事業用指定袋)

「クリーンセンター」などの処理施設へ自分で持ち込む方法です。安価ですが、毎回車を出さねばならず、現実的ではないケースが多いです。
※一部の自治体では、少量排出事業者向けに「事業用有料ゴミ袋(処理券)」を購入し、指定場所に出す制度を設けている場合があります。これも必ず自治体に確認が必要です。

失敗しない「許可業者」の探し方と契約3ステップ

3つのポイント

ここでは、最も一般的な「許可業者への委託」を進めるための具体的な手順を解説します。

STEP1:自治体のルールと担当部署を確認する

まず、物件がある自治体のルールを把握します。

  1. ネット検索:「◯◯区(市) 事業系ごみ 民泊」「◯◯市 住宅宿泊事業 ゴミ処理」などで検索。
  2. 一次情報の確認:自治体公式サイトで「事業系一般廃棄物の持ち込み可否」「指定袋の有無」「許可業者一覧(名簿)」を探します。
  3. 電話確認:サイト末尾の担当部署(清掃事務所や環境課など)に電話し、以下の項目を聞きます。
    • 収集可能な許可業者の紹介(または名簿の場所)
    • 民泊(住宅宿泊事業/旅館業)としての排出区分
    • 事業系指定袋を使う必要があるか
電話確認の内容は必ずメールで担当者名・日時とともに記録に残しましょう。後で「言った言わない」になるのを防げます。

STEP2:業者を選定し、現地見積もりをとる

自治体の名簿から業者を選び、連絡を取ります。近隣の飲食店やホテルが使っている業者を紹介してもらうのも手です。見積もり時は必ず現地確認に来てもらいましょう。

【確認すべき必須ポイント】

  • 許可証の確認:「一般廃棄物収集運搬業許可」の番号と有効期限を必ず目視確認してください。
  • 回収動線:保管場所はどこか、鍵はどうするか、トラックは停められるか。
  • 料金体系:月額固定か、量に応じた従量課金か。袋単位か、kg単位か。
  • 緊急対応:ゴミがあふれた時の臨時回収や、不法投棄時のサポートはあるか。

STEP3:契約と運用ルールの策定

合意できたら「委託契約書」を結びます。契約書には、万が一の不法投棄時の責任範囲や、報告(写真付きメールなど)のルールも盛り込んでおくと安心です。

現場が回る!ゴミ運用オペレーションの作り方

リノベーションコストを抑える

契約して終わりではありません。清掃スタッフやゲストが迷わず動ける「仕組み」を作ることが重要です。

収集日とチェックアウト動線の連携

理想は「チェックアウト(清掃)直後に回収が来る」ことです。ゴミの保管時間を短くすることで、悪臭や害虫の発生を防げます。
清掃スタッフには、「清掃終了時にゴミを二重結束し、指定場所へ搬出。完了写真をチャットで報告」というルールを徹底させましょう。

わかりやすいハウスルールの作成

【ごみのお願い】・掲示のとおり分別し、袋の口をしっかり縛ってください。・液体は捨ててから袋に入れてください。・電池/スプレー缶など危険物は入れないでください(専用ボックスへ)。※分別ができていない場合、追加清掃が必要になることがあります。不明点があればメッセージでご連絡ください。

ポイントは、命令口調を避けつつ、やってほしい行動を“具体的に書くこと。追加費用に触れる場合は、条件を曖昧にせず「追加清掃が必要になる場合がある」程度の表現に留め、個別対応で証跡(写真・作業内訳)を残す運用が安全です。

ゲストが迷わない「ゴミ箱レイアウト」

分別ミスを減らすには、直感的な環境づくりが欠かせません。

  • 色分けとアイコン:可燃(赤)、ビン・カン(青)、ペットボトル(黄)など、色とピクトグラムで視覚的に分けます。
  • 配置のコツ:1Kならキッチン横に集約。戸建てなら玄関付近にも一時保管スペースを用意。
  • 危険物対策:電池やスプレー缶は「持ち込み禁止」か「専用の小型ボックス」を用意し、可燃ゴミへの混入(火災原因)を絶対防ぎます。

外国人ゲストに伝わる「多言語案内」【コピペOK】

海外ゲストには「分別」の文化がない国もあります。細かいルールより、「シンプルで短い指示」が有効です。

英語(English)
Please sort waste. / Burnable / Recyclables / Bottles / Cans / No batteries.

中国語(中文)
请分类垃圾。 / 可燃垃圾 / 资源垃圾 / 玻璃瓶 / 金属罐 / 禁止投放电池

韓国語(한국어)
쓰레기를 분류해주세요. / 타는 쓰레기 / 재활용 / 병 / 캔 / 건전지 금지

これらの文言と写真を使ったPOPを、ゴミ箱の上や冷蔵庫など目につきやすい場所に掲示しましょう。

コスト管理とトラブル対応

違反回避

1予約あたりの「ゴミ処理コスト」を把握する

ゴミ処理費は「なんとなく」払うのではなく、KPI(重要業績評価指標)で管理します。

  • KPI計算式:月間ゴミ処理費用 ÷ 月間予約数 = 1予約あたりの処理コスト

この数字が高すぎる場合は、回収頻度の見直しや、袋のサイズ変更(大→中へ)などを検討し、無駄を削減しましょう。

もしも不法投棄や違反があったら?

近隣から「ゴミが散乱している」と苦情が来たり、ゲストが分別せずに大量に残していった場合の初動です。

  1. 安全確保と記録:まず現場へ急行(または代行業者へ依頼)し、状況を写真に撮ります。
  2. 回収・清掃:速やかにゴミを適正な状態に戻します。臨時回収が必要なら業者へ連絡。
  3. 相談:必要に応じて自治体へ相談(窓口は台帳化)
  4. 原因究明と対策:ゲストの違反であれば、証拠写真を添えて追加清掃費を請求。再発防止のため、注意書きや防犯カメラの設置を検討します。

まとめ:仕組み化で安心・安全な民泊運営を

民泊のゴミ処理は、やること自体はシンプルです。

  1. 自治体のルールを確認する(事業系一般廃棄物として処理)
  2. 信頼できる許可業者(または管理会社)と契約する
  3. 分別しやすい環境とマニュアルを作る

適正なゴミ処理は、法令順守だけでなく、ゲストの快適性や近隣との信頼関係に直結します。「たかがゴミ」と思わず、しっかりとした運用フローを構築して、長く愛される民泊施設を目指しましょう。


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